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いまさら聞けない!家と暮らしのキーワード
記事作成・更新日: 2017年 4月25日

防火地域、準防火地域って何? 家を建てるときにどんな制限があるの?

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防火地域、もしくは準防火地域というワードを聞いたことはありませんか?

建物が密集する都市部において、万が一、火災が起きてしまったときにできる限り延焼しないようにという目的で”都市計画法”によって定められているのが、この「防火地域」と「準防火地域」です。

これらの地域では、建築基準法によってそれぞれ建物の構造や材料に制限があるため、住む地域によっては、家を建てるために必要な知識となります。

今回は、具体的にどんな制限があるのか、その内容を説明します。

防火地域って?

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防火地域に建てられた、鉄骨造の住宅。
2×4耐火建築ペンシルビル(松居建築設計工房一級建築士事務所)

役場や銀行、交通のターミナルといった、都市機能が集中している中心市街地や幹線道路添いの商業地域などは「防火地域」に指定されています。

たとえば東京都では、千代田区や中央区は、ほとんどのエリアが「防火地域」に指定されています。

この防火地域に、3階建て以上、もしくは延面積が100平方メートルを超える建物を建てる場合は、「耐火建築物」にすることが義務付けされています。

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防火地域に建てられた、木造の耐火建築物
格子のイエ (ガレージ付、木造耐火)(株式会社SOU建築設計室)

耐火建築物とは、一般的には鉄筋コンクリート造の建物のこと。以前は鉄筋コンクリート造、鉄骨像などでしか建てられなかったのですが、最近では、木造の耐火性能が向上したことで、一定の耐火性能を有するとして国土交通大臣の認定を受けていれば、木造住宅も可能です。

3階以上の住まいを建てるのは珍しいかもしれませんが、1階、2階建てで延面積が100平方メートル以下の建築物であっても、「耐火建築物または準耐火建築物」にしなければならないという制限があります。

「準耐火建築物」とは、「耐火建築物」までではないものの、壁や柱、床、梁(はり)といった建物の構造物を国土交通大臣が定めた構造方法でつくり、窓や扉といった開口部は火災の延焼を防ぐ防火戸にするといった、防火対策が施された建物のこと。

”国土交通大臣が…”というのは、それぞれ求められる耐火性能、準耐火性能に適合するかどうかが国土交通省によって判断されるため。

少し細かい話になりますが、屋外から火災による加熱が加えられた場合に、たとえば耐火建築物の壁は30分、準耐火建築物は45分の耐火性能があれば大臣認定…という、壁の構造耐力や遮熱性能などを確認する試験があるのです。

また、ひとくちに「防火地域」といっても、防火地域の制限が適用されない場合も。たとえば、延面積が50平方メートル以内の平屋の附属的な建築物で、外壁と軒裏が防火構造の建物などです。

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耐火構造の木造住宅。階段の段板は、木の耐火構造の鉄骨階段
木造耐火構造でつくる下町の住まい((有)TAM建築設計室)

準防火地域って?

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木造3階建て。準耐火構造の賃貸併用住宅
木造3F準耐火構造のローコスト賃貸併用住宅のLDK(株式会社マックスネット・コンサルタント)

「防火地域」の外側に、広範囲に広がるのが「準防火地域」です。建物の制限は「防火地域」よりも緩やかで、4階建て以上、または延面積が1,500平方メートルを超える建築物は「耐火建築物」にしなければなりませんが、延面積が500平方メートル以下なら、一般的な木造2階建ての他、防火上の技術的基準を満たしていれば木造3階建てもOKです。

ただし、それでもやはり多少の制限はあって、木造2階建てまたは平屋建ての場合は、外壁や軒裏や防火構造にする必要があります。これは、火災時の隣地への延焼を防ぐためです。

また、木造3階建ての場合は、外壁の開口部の構造と面積、主要構造部の防火措置について一定の技術的基準が定められていて、これに適合する建築物としなければなりません。

耐火構造の違いで、建物の費用はどう変わるの?

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準防火地域に建てられた、木造3階建ての準耐火建築物
都心に住む(狭小旗竿敷地) 渋谷の家(株式会社あすなろ建築工房)

防火地域か、準防火地域かによって、建てられる建物に制限があることはわかりましたでしょうか。こんな家がいいな、と思い描いた建物が建築基準法に適合するかどうかは、専門家に相談するのがよさそうです。

とはいっても、気になるのが建築費用のこと。耐火建築物にするとなると、建築に用いる材料が違ってくるため、建築費用に差が出ます。

一般的には耐火建築物のほうが建築費用が割高になってしまいますが、自治体によっては、「防火地域」「準防火地域」とは別に緊急に”不燃化”を図る地域を「不燃化促進地域」と指定していて、その不燃化促進地域に耐火建築物、準耐火建築物を建てると、一定の助成がある場合も。

ただし、不燃化促進地域として指定されてから概ね10年以内といった期限や、いろいろな条件があるため、こちらも専門家へ相談するようにしましょう。

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敷地が防火地域と準防火地域にまたがるため、準防火地域内に建てた木造住宅
ピアノの家(株式会社SOU建築設計室)

いかがでしたでしょうか。

建物が密集する地域において、防災は重要な都市計画のひとつ。住まいを検討するときには、検討している計画地がどの地域に指定されているのかを、あらかじめ確認しておくことが必要です。

都市計画情報は、役所でも確認できるほか、たとえば東京都内であれば、都市整備局のウェブサイトにある都市計画情報等インターネット提供サービスで調べることができます。

また、建築基準法とは別に自治体ごとの決まりがある場合も。

前提条件が変わってきてしまうため、住まいの検討を始めたら、早めに建築士や工務店など専門家への相談をしたいですね。


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参照

都市計画法(第9条20項)
http://www.mlit.go.jp/common/000029198.pdf

建築基準法について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/index.html

Text SuMiKa編集部

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