この計画の特徴は、まずT字型の敷地にある。
繁華街近くの住宅街に位置し、T字の足の部分が東側の道路と接している。この細い部分を2階建てエリアとし、1階にはサロンを設けた。
ファサードは、この建物のボリュームを想像させない、品あるものにしたかった。
敷地奥にあるT字の頭の部分はゆったりとしており、奥まっているにも関わらず南が開けている。ここにLDKを配置し、南側に向かって屋根を持ち上げた。
南と西に庭も確保し、そこから存分に光と風を取り込んだ。最も暗くなる中央部にはトップライトを備えることが出来たのは、このエリアが平屋だからである。
また、将来は親世代とも暮らせるよう、北奥には和室も備えている。ちょうど良い距離感を意識したものだ。
25畳程のLDKと直交する形で、個室が集まる2階棟が接しているので、ここに動線が集中することになる。階段、エントランスホールと並行する形で、シューズクローゼット、ウォークインクローゼットが繋がり、家族専用の動線も確保した。
子育て真っただ中の5人家族が楽しく暮らせるよう、プランは奥様と練りに練った。特に家事動線はキッチンを中心とし、非常によくまとまったと思う。
計画当初のコンセプトは「家族でワイワイ、ちょうどいい家」だっが、タイトルの「The Longing House 」には、「憧れの家」と言う意味が込められている。
「家族が自然に集いたくなる広々リビング・ダイニング、やりたかったヘリンボーンの床やお庭があること、便利な家事動線、映画からインスピレーションを得た外観、サロンも併設!憧れと想いが詰まりまくり。
いつしか「ちょうどいい」から 「Longing House 」というイメージになりました」
設計の中盤に奥様から頂いたメールだが、真っすぐな気持ちがダイレクトに伝わってきたものだ。
憧れるまでに好きな家で暮らせたら、幸せだろうなと思う。
それが実現できたのかは、まずは1年後にお聞きしてみたいと思っている。
玄関からキッチンまでの土間収納を含めた導線。
レッドシダーを使った軒下とヘリンボーン床。
大開口からの眺めとトップライトの明かり