TR.house

既存建物は、築40年の2階建て+棟屋のRC造の建物で、都内の住宅街に位置する個人住宅である。

建物は、当時の設計者により丁寧に作られた3LDKの住宅であるが、築40年が経過していることから、仕上げ材や設備機器の更新と、断熱性能や、今後のメンテナンス性能が向上する改修、及び4LDK+事務所への間取り変更が求めらた。

改修は、内部を一度スケルトンの状態として、構造躯体の状況を確認した上で、壁、天井は全面モルタル仕上げに、床はLDKに床暖房を加えた、全面コンクリートの床として、既存のRC躯体の雰囲気をそのまま生かす仕上げとしている。
既存外壁は吹付け塗装であったため、断熱性能と、今後のメンテナンス性能を向上させるため、新たにガルバリウム鋼板の外断熱工法として全面を改修し、窓は断熱性能の高いサッシへと更新している。

プランに関しては、既存建物の廊下、階段の位置する住宅中心部の暗さと、屋上テラスまで急な外階段によってアクセスする使いにくさが課題となり、その要因である既存RC階段と2階廊下部分を取り壊し、新たに変形螺旋階段がある階段室へと更新している。これによって、1階から屋上までの導線を一体化し、屋上テラスを積極的に利用出来るようにすると共に、棟屋部分は、テラスに向かって全面をサッシへと更新することで、屋上からの明るい光を1階まで導き、暗い印象があった住宅の中心部を、光と風が通る階段室へと改修し、それに接続する各部屋の住環境も改善している。

2階のLDKに関しては、キッチンが独立して設けられていたものを、アイランドキッチンに変更し、構造である既存のRC壁、柱を残しながら、ダイニングスペースとリビング・キッチンスペースを柔らかに分節しながらも、一体的に利用できる空間へと改修している。

既存建物が持つ特性を積極的に生かし、その弱点となっている部分を改善することで、新たな住空間へと生まれ変わる改修が実現している。

有限会社atelier A5建築設計事務所

清水 裕子+清水 貞博+松崎 正寿

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