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LiVESの家
2016年 8月 5日

低予算&完全DIY。
UR賃貸で叶えた 自分たちらしい暮らし

富士見台団地のリノベーション

築49 年の団地に残る畳、襖、押入れなど、手ざわりの良い日本家屋的な要素を活かし、間取りは現代の生活スタイルに合わせて再構築。

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2 つの和室と台所の壁や襖を取り去り、広々としたLDK に。和室にあった押入れはそのまま活かし、仕事用のデスクに。畳は表替えをしてベンチの座面に活用。

富士見台団地のリノベーション

(東京都国立市)

設計・施工
能作淳平建築設計事務所
住人データ
淳平さん(31歳)建築家、香奈さん(28歳)会社員、創くん(0歳)

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色のきれいなドライフラワーをアートのように飾った玄関の壁。

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襖に張ったざっくりとした麻は風を通し、人の気配も伝える。

「UR都市機構」の賃貸物件には、借り主によるリノベーションが可能な「DIY住宅」が各地で展開されている。建築家の能作淳平さんは、「環境の良い郊外で子育てをしながら、ちょっとした仕事もできる家につくり替えたい」という理由から、国立市にある築49年の「DIY住宅」を選択。奥さまの香奈さんと9ヶ月の創くんとの3人で暮らす住居として、ほぼ全面を自らの手でリノベーションすることにした。

設計スタートから引っ越しまで1ヶ月しかなかったので、現地で設計しながら施工することになりました。棟間隔が広くて緑が多い環境、畳や襖といった日本家屋の設えなど、団地ならではの居心地の良さを体感しながら、どこまで解体するかを検討。間取りは使い方に合わせて変更し、手で触れて心地よい和の要素である、既存の部位を活かしていくという方向性を決めました(淳平さん)

既存の間取りは、竣工時の内装を受け継ぐ、細かく分けられた和室と台所からなる45㎡ の空間。2つの和室と台所の間の仕切りを撤去し、広々としたLDKに。玄関側の和室と水まわりは既存を活かしているが、洗濯機の位置を少し移動し、洗面室を広くするなど、微調整で使いやすくアレンジしている。設備機器はネットで調達。キッチンやバスタブは自作し、浴室の床は左官仕上げに。給排水やガスの配管、電気の配線のみ、専門業者に依頼した。

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既存の襖の襖紙をはがして縁と骨組みを活かし、麻を張り直してパーティションに。LDK の一角を仕切って、収納や洗濯機を置くスペースとした。

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LDK から連続する玄関。塩ビタイルの床が続く。ドアの内側まで真っ白に塗装。棚の代わりに古い木製の茶箱を置いている。

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木を組み立ててDIY で造作したキッチン。シンクは「IKEA」で購入し、コンロはインターネットで調達。換気扇は既存を流用。

LDKの床は、畳をすべて撤去し、根太や下地を新設。床レベルをフラットにして、塩ビタイルを敷いた。壁は壁紙をはがし、躯体に白いペンキを塗装。吹き付けの天井も白く塗り直した。昼間はちょっとした仕事、朝晩は家族団欒の場所として、どのような使い方にも対応できる、真っ白でシンプルな空間だ。

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南側の窓に面した畳のベンチは縁側的な居心地。テーブルは、床座とベンチの両方に対応できる高さに。

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洗面は「IKEA」。給排水の工事はプロに依頼。トイレは既存のまま。水まわりを仕切るドアも麻を張った襖。

和の設えの部位は、素材として捉え、空間内に取り込んだ。押入れは襖を外してそのままちょっとした仕事ができるデスクに。畳は表替えをしてLDKの壁側にベンチとして設置。骨組みだけ残した襖には麻布を張り、ドアやパーティションとして利用している。

完全に新しくつくり替えてしまうのはもったいないし、かと言って古いまま保存するのは現代の生活様式に合わない。古いものを現代的に変形する試みが、団地などの古いものが持つ心地よさを残していくことにつながると感じています(淳平さん)

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デスクの上には模型が並ぶ。押入れの天袋をそのまま棚として使っている。

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和室の扉も麻を張った襖。天袋の一部を撤去し、光と風の抜けをつくった。

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夜と朝は家族の団欒の場となるLDK。畳のベンチは大勢の人が集まるときにも便利。ベンチの脚には、撤去した既存の鴨居の枠が再利用されている。

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Before

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After


〈物件名〉富士見台団地のリノベーション〈所在地〉東京都国立市〈居住者構成〉夫婦+子供1 人〈建物規模〉地上5 階建て(4 階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1965 年〈専有面積〉45.00㎡〈バルコニー面積〉4.0㎡〈設計・施工〉能作淳平建築設計事務所〈設計期間〉0ヶ月〈工事期間〉1ヶ月〈竣工〉2014 年〈総工費〉100 万円以下(設計料・工賃除く)


※この記事はLiVES Vol.79に掲載されたものを転載しています。

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