もともと持っていた北欧のヴィンテージ家具に合わせた空間づくり。壁をふかして木製サッシで既存の窓を調整。美しい設えを生み出す。
text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue
トリミングルーム
(東京都国立市)
- 設計
- 稲山貴則 建築設計事務所
- 住人データ
- 夫(33歳)会社員、妻(40歳)会社員
築16年、70㎡強の中古マンションを購入し、リノベーションをしたTさんご夫妻は、パグのひばりと一緒に暮らす。
リノベーションをするにあたり、どこかに犬のためのベッドをつくらなくてはと思っていましたが、具体的に良いアイデアがありませんでした(ご主人)
そんな中、知人だった建築家の稲山貴則さんに、リノベーションの設計を依頼することに。稲山さんから「壁をふかすことでスペースが生まれるから、そこにドッグルームをつくってはどうか」という提案を受け、即答でOKしたという。
Tさんご夫妻は、北欧のヴィンテージ家具をたくさんお持ちだったので、それに合わせて美しく整った空間をつくりたいと思いました。全体的に壁をふかして、無造作に開けられた窓の一部をふさいだり、内側に木製サッシを新設し、空間の設えを調整しています。その一部にエアコンを収めるために、空洞となる場所があったので、ドッグルームにぴったりだと考えました(稲山さん)
ドッグルームはふかした壁をアーチ型にくりぬき、入口をつくることにした。ひばりが怖がって中に入ってくれないことも考えられたので、歩いた状態で自然に入れるように、頭が当たらない高さに設定した。
引っ越してきてすぐに自分から入って、そのまま爆睡。〝ハウス〞と促してあげると入るので、自分の居場所という自覚があると思います。ひばりがリビングの真ん中にいてくれることは、私たちにとっても安心感につながります(奥さま)
玄関側に2つの個室があり、残りが大きなLDKという既存の間取りはほとんどそのまま活かした。壁・天井はグレーに塗装し、一部の壁はアクセントとして紺色に塗った。ドアや収納の扉も塗装し、把手だけを気に入ったデザインのものに変更するなど、予算を抑えながらテイストを上手くまとめている。
床はチークのパーケットフローリング。犬の足にもほどよくひっかかる細かい目地が入ったタイプを選んだ。一般的なフローリングと比較すると、滑りにくくなるという。
自分たちの好みのテイストと、犬のために良い空間や、素材のバランスを兼ね備えた空間にすることができました。ひばりにとってもリラックスして過ごせる家になっていると思います(ご主人)
専門家プロフィール
1982年 山梨県生れ。2005年 東京理科大学工学部建築学科卒業。06~09年 山梨にて設計事務所勤務。09~14年 オンデザインパートナーズ勤務。14年 稲山貴則 建築設計事務所設立。
稲山貴則 建築設計事務所
- 住所
- 神奈川県横浜市中区相生町2・52泰生ポーチ301
- TEL
- 045・323・9661
- mail@ineyama.jp
- URL
- www.ineyama.jp
〈物件名〉トリミングルーム 〈所在地〉東京都国立市 〈居住者構成〉夫婦+犬1匹 〈建物規模〉地上10階建て(5階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1998年 〈専有面積〉70.26㎡ 〈バルコニー面積〉5.19㎡ 〈設計〉稲山貴則 建築設計事務所〈施工〉伸栄〈 設計期間〉2ヶ月〈工事期間〉1.5ヶ月〈竣工〉2014年〈総工費〉350万円
※この記事はLiVES Vol.80に掲載されたものを転載しています。
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