築40年のマンションをリノベーションした建築家の自邸。コンクリートやスチールの素地を活かしたLDKに、愛犬仲間が集う。
text_ Satoko Hatano photograph_ Takuya Furusue
Yamate Apartment
(横浜市中区)
- 設計
- no.555一級建築士事務所
- 住人データ
- 夫(41歳)建築家、妻(40歳)インテリアショップ勤務
横浜山手にある高台の住宅地。近隣公園の緑を望む築40年のマンションをリノベーションしたのは、住人で設計者でもある建築家の土田拓也さん。奥さまの未来さんと愛犬ジウジと暮らす住まいについて、
山手エリアには10年くらい住んでいて、地域の方々と愛犬を介したコミュニティを築いています。仲間や犬たちと集える住まいを求めて、同じエリアで家探しを始めました
と話す。
縁あって愛犬仲間も入居する低層マンションを入手。床面積93㎡余の3LDKを、寝室1つと広々としたLDKに改修した。既存仕上げをすべて撤去し、壁と天井をコンクリート現わしのまま使用。建築当時の職人の墨つけ跡が残る、荒削りな表情をあえて楽しんでいる。キッチンは既存のレイアウトを踏襲し、対面式の造作カウンターを新設。南に掃き出し窓のあるダイニングの先に、公園の桜を眺める開放的なキッチンまわりを実現した。
ステンレスのシンクにスチールの架台、業務用のシングル水栓を組み合わせた潔いシンプルなカウンターは、土田さんが設計するキッチンの定番スタイルだ。
スチールやコンクリートの素地の表情は、毎日の使用に耐えるタフさの表れでもあります。しかし、素地の強さやラフさだけが強調されると、緊張感を生んでしまう。食の空間では、気を使わずにくつろげるように”くずし感”も大事にしています
素地を活かしたクールな空間を”くずす”のは個性豊かなダイニンチェア。8脚すべて違うデザインで、愛用品ほか中古チェアをペンキでリメイクしたもの、「いただき物」もある。ハーブなどの植栽も、室内に彩りを添える重要なインテリアだ。
ホームパーティーの舞台となる大きなダイニングテーブルは土田さんのデザイン。長さ1.5mのテーブルを2台並べ、L字や正方形などいろいろな配置で使うことができる。
先日も20人以上集まりました。いつも持ち寄りパーティーですが、キッチンも収納もオープンスタイルなので配膳もスムーズでしたよ
と話す未来さん。
ダイニングエリアに収まりきらない人は、リビングのソファや無垢板の床で自由にくつろぐという。「お呼ばれ」しても気楽に過ごせるため、長居する人が続出という土田邸のホームパーティー。春に行われた花見も、きっと深夜にまで及んだことだろう。
専門家プロフィール
1996年 関東学院大学建設工学科卒業。同年~ 2001年 株式会社前澤建築事務所。’05年 no.555一級建築士事務所設立。’14年 株式会社no.555一級建築士事務所改組。
no.555一級建築士事務所
- 住所
- 神奈川県横浜市中区山手町26Bluff gatehouse
- TEL
- 045・567・7179
- go.go.go@number555.com
- URL
- http://number555.com/
〈物件名〉Yamate Apartment〈所在地〉横浜市中区〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上4階建て(2階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1974年〈専有面積〉93.78㎡〈バルコニー面積〉13.11㎡ 〈設計〉no.555一級建築士事務所〈施工〉リセット〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉3ヶ月〈竣工〉2014年〈総工費〉600万円
※この記事はLiVES Vol.81に掲載されたものを転載しています。
※LiVESは、オンライン書店にてご購入いただけます。
amazonで【LiVES】の購入を希望される方はコチラ