六本木のビル群を見渡す、ルーフバルコニーが自慢の最上階の物件。一人暮らしの住まいとして自分らしさをギュッと詰め込み、インテリアをとことん楽しむ。
text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue
六本木C邸 90平米のワンルーム
(東京都港区)
- 設計・施工
- HOUSETRAD
- 住人データ
- クリストファーさん(25歳)会社員
六本木のミッドタウンの裏にある、築42年の中古マンションをリノベーションしたクリストファーさん。たまたま空いていた実家の隣の部屋が、改装可能な賃貸物件だったのだ。
自分の好みのデザイン要素をとことん盛り込み、日本ではあり得ない空間をつくりたかったんです
そう話すクリストファーさんは、フランス人の父と日本人の母を持つハーフ。ファッションブランドのマーケティング部門で働き、仕事でもインテリアやアートなどを扱うことが多いという。
既存はオフィスとして使われていた85平米の空間。最上階に位置し、大きな窓と広いバルコニーがあり、ミッドタウンや東京タワーなど六本木のビル群を見渡す好ロケーションだ。
クリストファーさんの希望は天井が高く、広々としたNYのロフト的なワンルーム。ベッドやバスタブが無造作に置かれたようなイメージだった。それを形にしたのが、友人だったHOUSETRADの細田邦彦さんだ。実験的なことにもトライしながら、打ち合わせで出てくるたくさんのアイデアを落とし込んでいった。
ワンルームにするとしても、寝室、リビング、水まわりなどの用途が異なる場所は、空気感を少し違う感じにしたかったんです。抜けや光を遮らずに空間を分けることを考え、スチールで造作したフェンスや木枠のガラスの建具で軽く間仕切り、床の高さや素材にも変化をつけました。居心地や見た目の印象がずいぶん変わり、空間にメリハリが生まれたと思います(細田さん)
寝室の床はパイン。モルタルの床のクールなリビングスペースと異なり、自然光が優しく回るナチュラルな印象だ。水まわりはスペースがコンパクトであることも考慮し、ガラスの建具で仕切った。フロストガラスではなく、目線の抜けを重視した透明ガラスだ。リビングからは、白いタイル張りの壁や飾られた植物がよく見え、ショーケースのような雰囲気。ガラスには来客用にブラインドが設けられているが、一人のときはほとんど使っていないという。
住みやすさや使い勝手以上に、非日常感を重視して、お気に入りのものだけを取り入れました。一人暮らしの今しか住めない家ですね。家に帰ってくると部屋を見渡してしまうくらい、とても気に入っています(クリストファーさん)
専門家プロフィール
1976年 静岡県生まれ。日本工学院専門学校を経て、構造設計事務所で構造を学び、ジュエリーブランドのe.m.で店舗の内装と什器の製作設計に従事。その後、パシフィックファニチャーサービスに入社。2012年 水野了祐とともにHOUSETRAD設立。
HOUSETRAD CO.,LTD
- 住所
- 東京都渋谷区恵比寿南2・16・12 102
- TEL
- 03・6412・7406
- FAX
- 03・6701・7430
- info@housetrad.com
- URL
- www.housetrad.com
〈物件名〉六本木C邸 90平米のワンルーム〈所在地〉東京都港区〈居住者構成〉大人1人〈建物規模〉地上6階建て(6階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1973年〈専有面積〉約85平米〈バルコニー面積〉約48平米〈設計・施工〉HOUSETRAD〈設計期間〉1ヶ月〈工事期間〉1ヶ月〈竣工〉2014年〈総工費〉300万円 ※施主支給品・施主施工費、設計料別
※この記事はLiVES Vol.83に掲載されたものを転載しています。
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