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LiVESの家
記事作成・更新日: 2017年 6月 1日

構造材の鉄骨を大胆に見せた
NYロフト風のオフィス兼住宅

Drop

ごく一般的な古い民家が、仕事と生活がゆるやかに混ざり合う開放的な住まいに生まれ変わった。鉄骨造の家だからできる、無骨な構造体が魅せるワイルドな空間。

text_ Yukari Yuki photograph_ Masami Naito

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玄関を入ると広がるライトグレーの土間スペース。存在感たっぷりの剥き出しの鉄骨とも好相性。ブルーの黒板塗料で仕上げた壁が空間のポイントになっている。

Drop

(熊本県熊本市)

設計・施工
ASTER
住人データ
夫(36歳)フリー編集者、妻(38歳)デザイナー、長女(8歳)、次女(1歳)

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靴箱は気に入ったものが見つからず、とりあえず手作りした。園芸ブロックと足場板でお手軽DIY。

熊本市に住むTさんご夫婦は、フリー編集者のご主人とデザイナーの奥さまというクリエイターカップル。Tさんが取材を通して、住宅リノベーションの専門会社アスターと親しくなり、代表の中川正太郎さんの自宅を訪問したことが、今回の家づくりの大きなきっかけに。

そのときは、まだ自分たちが家を持つ実感はなくて。ただデザインや内装がかっこいいなーという印象でした。その後、家づくりが現実味を帯びたとき、中川さんの家を思い出して。自分たちの家もあんな風にしたいと思ったんです(ご主人)

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外観はごく普通の民家。近々、外構の改装を計画している。

ご夫妻がマイホーム取得を考え始めたのは4年ほど前のこと。希望エリアで売家を見つけると、すぐにアスターに相談。築41年の古い建物だったが、事前にインスペクションを行い、構造に問題がないと判断した上でリノベーションに踏み切った。

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2階の子供部屋は、奥さまがセルフリノベ中。押入れの襖に北欧テイストの壁紙を貼るなど、アレンジを楽しんでいる。

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日当たりの良好な土間の一角はコンテナガーデンに。古い野菜収穫箱を小さなグリーンのディスプレイ台として活用している。

僕たちは自宅で仕事をするので、ワークスペースとプライベートスペースが合体した機能的な住まいが理想でした。また、この周辺にはクリエイティブな活動をしている人が多いので、将来的にみなさんのコミュニティ拠点として活用してもらえたら嬉しいですね(ご主人)

その想いが設計の起点となり、完成したのは、接客や交流のために使えるワークスペースをメインに据えたプラン。

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スタジオ側からワークスペースを見る。光たっぷりの土間はサンルームのよう。

壁を解体したら、無骨な鉄骨の柱が出現。とても雰囲気があるので、手を加えずそのままの状態で残すことを提案しました

と設計を担当した中元俊博さん。鉄のフレームは、この家を印象づけるシンボル的存在となった。

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照明器具はインテリアショップ「Fill」で購入したもの。

1階はワークスペースのほか、ダイニングキッチン、水まわりを配置。玄関から室内の奥まで延びるモルタルの土間を進むと、突き当たりには仕事で使うスタジオがある。土足のまま動けるため、人の出入りが多いご夫妻の暮らしにはぴったりだ。現在は、2人が仕事の合間にくつろぐ場、子どもたちの遊び場、そして接客と、さまざまな用途で使っている。2階は広いリビングと寝室、子供部屋、収納という間取り。コストを抑えるため、仕上げの大部分を夫婦2人でDIYしているという。

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キッチンのシンクやガス台などは業務用のステンレス製。低価格も決め手。

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古材とアイアンでつくられたヴィンテージ感たっぷりのウォールシェルフ。

2階の部屋づくりは、まだまだこれからです(奥さま)

と、自分たちのペースで、ぼちぼち家づくりを楽しむのだそう。

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ご夫妻のデスクスペース。ダークブラウンの木材+アイアンで家具を揃え、クールな雰囲気に仕上げた。床は杉板にオイルステインを塗り込んで仕上げている。

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土間の通路はちょっとしたガーデニングコーナーに。構造合板の扉の奥が、ご夫妻が仕事で使うスタジオ。カメラ機材などを置くバックヤードとしても利用。

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Before

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After


〈物件名〉Drop〈所在地〉熊本県熊本市〈居住者構成〉夫婦+子供2人〈建物規模〉地上2階建て〈主要構造〉鉄骨造〈建物竣工年〉1974年〈建築面積〉83.90平米〈床面積〉1階 83.10平米、2階60.10平米、合計 143.65平米〈設計・施工〉ASTER〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈竣工〉2015年〈総工費〉781万円 ※施主支給・施工費別


※この記事はLiVES Vol.83に掲載されたものを転載しています。

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