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LiVESの家
2017年 6月22日

材料入手から施工、追加工事まで。
自らつくり、育てる家

網代の家

プロの手を借りながら、外壁張り、内部仕上げも自分たちの手で。木造在来工法のシンプルな三角屋根の平屋で、施主施工による変化を受け入れる。

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外壁は施工しやすい下部に山から伐り出したスギを張った。上部は職人によるリシン吹き付け。薪ストーブ用の薪は地域で伐採された木をもらい、克哉さんが割っている。薪小屋もつくる予定。

網代の家

(東京都あきる野市)

設計
アラキ+ササキアーキテクツ
住人データ
夫(36歳)会社員、妻(42歳)音楽家、長女(5歳)、次女(1歳)

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三角屋根のシンプルな一室空間。梁に床を張って必要な分だけスペースをつくることができる。床は多摩産スギのフローリング張り。壁は珪藻土仕上げ。

高見澤克哉さんは、奥さまの淳子さんと2人の娘さんとの4人家族。山や川が近くにある田舎暮らしを希望し、勤務先の都心までなんとか通えるエリアとして、あきるの市に一戸建てを建てた。

家を建てるなら、できるだけ自分たちの手でつくりたいと思っていました。友人の紹介で知り合ったアラキ+ササキアーキテクツ(以下A+Sa)に相談したことで、思いを汲み取ってもらい、サポートを受けながら施工に参加することができました(克哉さん)

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敷地内に建つ小屋は克哉さんによるセルフビルド。基礎にはブロックを使い、製材所でもらった端材を外壁に張って仕上げた。

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薪ストーブのまわりに張ったレンガは、敷地の土にセメントを混ぜ、日干しで乾燥。何日もかけて350個ほどつくった。

さらに、淳子さんの親戚が茨城県に山林を所有していたことから、その山の木を使って家を建てることもご夫妻の夢だったという。

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LDKの一角にある、ジャズをはじめとしたたくさんのCDを収納する棚は、以前の住まいで克哉さんが自作したもの。

家にブラックボックスをつくらず、成り立ちを知っておきたかったんです。木材はどこからきて、誰がどのようにつくったかなど、食と同じように過程を知ることで、安心して暮らせる家になると感じています(淳子さん)

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現在、ロフトは2カ所。寝室や子どもが遊ぶスペースとして使っている。階段とロフトに手すりを付けたのは、つい最近。

山から伐り出したスギやヒノキは、自分たちで表面をなめらかに削り、保護塗料を塗って、外壁としてよろい張りに。地元の多摩産のスギのフローリングを敷いた床、玄関の庇も施主施工した。さらに、断熱材として籾殻を内壁に封入。薪ストーブを囲うレンガは、基礎工事のときに出た土を使って自作した。

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合板で造作したⅡ型キッチン。レンジフードは珪藻土を左官。

伐採した木を丸太から荒挽きして運搬し、設計をしている間に、地元の製材所に製材と乾燥をお願いしました。その流れを知り、木が家の材料になるまでに、たくさんの人の手間と時間がかかっていることを痛感しました(淳子さん)

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演奏や録音なども行うピアノ室。LDKとのあいだに水まわりを配置してゆるやかに空間を切り分けている。ピアノ教室も開催。

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窓からは庭の緑が見える。壁に走る長押のような木は、断熱材の籾殻の封入口。交換時には木を外して取り出すこともできる。

A+Saにより設計された家は、十分な高さがある三角屋根の平屋。箱に収まった水まわりで、ゆるやかにLDKとピアノ室を分けている。木造在来工法のシンプルで明解な構造体にすることにより、計画しきれない施主施工による変化を受け入れられるようにした。

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いつも何かをつくっている克哉さん。庭には端材が転がる。

高見澤さんご夫妻は、引っ越してきてからも、壁に珪藻土を塗ったり、梁に床を張ってロフトをつくったりするなど、自分たちの手で家をつくり続けている。

追加工事をするときは、A+Saに相談してアドバイスをもらい、施工を手伝ってもらうこともあります。家が建ってからもパートナーとして支えてもらえるから、できることだと思います(克哉さん)

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ダイニングテーブルなどの家具の天板には、山から伐り出した広葉樹を使っている。ロフトの下の収納は、住み始めてから必要に応じて克哉さんがつくった。

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〈物件名〉網代の家〈所在地〉東京都あきる野市〈居住者構成〉夫婦+子供2人+犬1匹〈用途地域〉指定なし〈建物規模〉平屋建て〈主要構造〉木造〈敷地面積〉518.74㎡〈建築面積〉79.50 ㎡〈床面積〉79.50㎡〈建蔽率〉20.12%(許容40%)〈容積率〉20.12%(許容80%)〈設計〉アラキ+ササキアーキテクツ〈施工〉アラキ+ササキアーキテクツ+施主〈設計期間〉14ヶ月〈工事期間〉8ヶ月〈竣工〉2014年


※この記事はLiVES Vol.85に掲載されたものを転載しています。

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