「ログハウス」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを持ちますか?
きっと、多くの人がキャンプ場のコテージや、避暑地などの別荘に建っているものをイメージされることと思います。
普段住む家としては少し敷居が高そうなログハウスですが、定年後の家として、また、移住先の家として選ぶオーナーも多いそうです。
この記事では、木の温かみが感じられるログハウスのメリットやデメリット、建設にかかる費用や耐用年数についてご紹介します。
今回は、具体的にどんな制限があるのか、その内容を説明します。
ログハウスとはどんな家? その種類
ログハウスとは、「LOG(丸太)」を積みあげてつくる家のこと。多くの家では柱や梁(はり)になることが多い木材ですが、ログハウスでは木材がそのまま家の壁になっているのが特徴です。
このログハウスの工法は、大きく分けてチェーンソーで丸太を切り分けてつくる「ハンドヒューン」と、機械で切り分けた材でつくる「マシンカット」があります。
▼ハンドヒューンログハウスとは?
みなさんが「ログハウス」と聞いて想像するような、木の丸い形がそのまま残った家。丸太の皮を剥き、手斧やチェーンソーで切り込みを入れて丸太同士を組み合わせ、家の外壁をつくるワイルドな工法です。
木はねじれや反りなど、ひとつひとつ個性があり、必ずしもまっすぐなものばかりではありません。木の個性を理解し、職人さんが経験と勘を使って建てるのでひとつとして同じ家はなく、独特の温かさが生まれます。
▼マシンカットログハウスとは?
こちらは工場で木材を加工して現地で組み立てる近代的なログハウス。工場で加工した、反りやばらつきのない木材を組み立てるため、ハンドヒューンに比べて気密性が高く、複雑な形の家もつくることができます。ログハウスのキットとして販売されているものはほとんどがこのタイプで、その気になれば施主が自ら建てることだってできます。
ログハウスのメリット・デメリット
住まいとしてのログハウスにはどのような特徴があるのでしょうか?
機能や住み心地、価格などから、そのメリット、デメリットをご紹介します。
▼ログハウスのメリット
・高い調湿性と断熱性で、省エネ効果が◎
木は伐採後も呼吸をおこない、湿度を吸収したり吐き出したりして、湿度を調節する効果を持ちます。ログハウスは丸太をそのまま組み上げた家なので、調湿効果は抜群。また、外壁の高い断熱性も特徴で、木材に含まれた空気が天然の断熱材になり、冬は暖かく、夏は直射日光をさえぎって涼しく暮らすことができます。
・耐火性が高く、火事に強い
「木でつくられた家」と聞くと燃えやすいのでは? と心配になりますが、ログハウスは意外に耐火性が高いことをご存知でしたか? 木は燃えると表面に炭素の層ができ、ある程度燃えると鎮火します。ログハウスは太い木材を使っているので、全焼することは少なく、万が一火災に遭ったとしても、リフォームをすればまた住めることも多いそうです。
・リラックスして過ごせる
古民家に行った時に、大黒柱の木目や、家具の木目に安心感を覚えたことはありませんか? もし、安心感を抱いたことがあるなら、周りを木材に囲まれ、木の香りに包まれたログハウスの暮らしは心穏やかに過ごせる時間を与えてくれるはずです。
▼ログハウスのデメリット
・定期的なメンテナンスが必要不可欠
他の家にも言えることですが、ログハウスには定期的なメンテナンスが欠かせません。その理由は建材に無垢材を使っているから。無垢の木材は年月とともに木の乾燥が進み、木材自体が少しずつ小さくなります。また、周りの湿度を吸収、排出して、縮みや反りも起こしてしまうのです。
木材が縮むと家に歪みが出て、ドアや窓のサッシなどの開け閉めがしづらくなることがあります。ログハウスはこの歪みを想定してつくられていて、歪みをとるメンテナンスができるように設計されています。歪みが落ち着くのは建ててから数年後。その間は定期的に歪みを調整するメンテナンスが必要です。
このほかに、雨風や直射日光から木材を守るために、定期的にコーティング塗料を外壁に塗る必要があります。
・雨漏りをすることも
天井からポタポタと水が垂れてきた、ということは少ないのですが、構造上、木材同士が交差している、家の隅の部分から水が染み出してくることがあります。
とはいえ、雨漏りは台風などの強い雨の時に限定されるので、家の角に物を置かないように気をつけていれば、それほど気にすることはないのかもしれません。
その他に、木の収縮によって壁面に割れ目が生じたり、丸太の間にホコリが溜まりやすいこともログハウスのデメリットと言えます。ここは住む人によって好みが分かれるところでしょう。
知っておきたい、ログハウスにかかる費用や耐用年数は?
ログハウスの購入費用は、一般的な住宅と同じく以下の費用の合算になります。
・土地代
・建材の費用
・施工費用
・電気やガスなど、ライフラインの設置費用
・その他キッチンやバスルームなどの設備費用
費用は一般住宅と同じく、坪数や施工業者によって上下するため、一概に比較することはできませんが、一般住宅と比べて極端に費用が高かったり低かったりすることは少ないようです。
一般住宅と大きく違う点はメンテナンスにかかる費用でしょう。
先ほど「ログハウスのデメリット」でご説明したように、ログハウスは定期的なメンテナンスが欠かせない家です。木材の縮みや反りによる家の歪みを直す作業は、工具があればご自身でも可能な作業ですが、外壁の塗装作業には費用が必要です。
塗装によるメンテナンス費用は家の大きさにもよりますが、高所作業用の足場代と塗料費用を含め10万円ほど(業者さんに頼む場合はプラスで費用が必要です)。塗装メンテナンスの周期は5年に一度程度なので、その都度費用がかかります。
定期的なメンテナンスが必要なログハウスですが、しっかりとメンテナンスを行ってあげれば100年以上住める家と言われています。現に、カナダやアメリカには築年数100年以上のログハウスも現存しているそうです。
ちょっと個性派、だからいい
ログハウスの一番の魅力は、この工法ならではの「洗練されすぎない温かさ」にあるのではないでしょうか。木材の持つ曲線や無骨さをできるだけ残したフォルムは、工場で加工された新建材や木材とは異なる温かさを持っています。
ログハウスは少し風変わりな家かもしれませんが、住む家や部屋はその人の心を表すと言われています。人とは異なる人生を歩みたい、人とは違った生活を送りたいという方方には、ログハウスはぴったりの家だと言えるのではないでしょうか。
ちょっと個性派の家ですが、住めば住むほど愛着が湧いてくるのがログハウスなのかもしれません。
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Text 鈴木雅矩
ライタープロフィール
ライター・暮らしの編集者。1986年静岡県浜松市生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、自転車日本一周やユーラシア大陸横断旅行に出かける。帰国後はライター・編集者として活動中。日本の暮らし方を再編集するウェブメディア「未来住まい方会議by YADOKARI」の元・副編集長。著書に「京都の小商い〜就職しない生き方ガイド〜(三栄書房)」。おいしい料理とビールをこよなく愛しています。