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LiVESの家
2017年 8月10日

旗竿地に建つ築古の再建築不可物件で叶う、
都内の庭付き戸建て

武蔵境の家

在来工法の木造2階建てをスケルトン状態に。経年した柱や梁に、柿渋塗装や版築の壁など、伝統的な要素を組み合わせて新旧をつなぐ。

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1階はまるごとLDK。南側に面した庭、新しく設けた吹き抜けから十分な採光があり、明るい雰囲気。2階の床は既存の梁に合板を張って造り、一部を吹き抜けに。

武蔵境の家

(東京都武蔵野市)

設計
ディンプル建築設計事務所
住人データ
夫(43歳)建築家、妻(38歳)会社員

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光を反射させ、明るい印象を与える真っ白な外観。既存の屋根と外壁を残し、その上に白のガルバリウムを張ることで、解体や下地づくりの予算を抑えている。

幅1mほどの路地を進んだ先にある築63年の木造2階建て。旗竿地で建ぺい率は40%と厳しく、余白を残した建ち方で、接道義務を満たさない再建築不可物件だ。ディンプル建築設計事務所の堀泰彰さんは、この物件をリノベーションすることで、都内で庭の広さが70㎡以上ある戸建てに住むことを実現した。

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キッチン側からLDKを見る。鉄骨のトラス梁は、過去の増築時に補強された既存の構造。梁を露出させたことで、天井が高く、抜けのある開放的な空間になった。

再建築不可の物件は、相場の3分の1から4分の1くらいの価格で購入できます。予算的に都内なら中古マンション、戸建てなら郊外と条件を譲歩するつもりでしたが、この物件なら都内の戸建ても叶う。築古で傷みは激しかったのですが、在来工法の木造なら、構造や基礎を部分的に交換できるので、既存の状態は気になりませんでした(泰彰さん)

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2階にある薫さんのメイクルーム。ハリウッドミラーをDIY。

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窓枠が見えないように壁の位置を調整し、庭とのつながりを強調。

リノベーションの設計は、奥さまの薫さんと暮らす家として、柱や梁などの構造のみを残し、スケルトン状態にして、上下階がワンルームのようにつながる空間を計画した。

奥まった場所にあって暗かったので、明るくするために庭がある南側に大きな吹き抜けをつくりました。水まわり以外は間仕切りをつくらず、2階の真ん中に箱型のウォークインクローゼットを置いて、空間を切り分けています(泰彰さん)

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玄関の正面の壁は、ワラ入り土壁の搔き落とし仕上げ。

2階は手前に寝室を設け、ウォークインクローゼットを抜けた先に、薫さんのメイクルームをつくった。

ドレッサーはデスクとして、パソコン作業などにも使っています。女性のための書斎といったような空間です。コンパクトな面積の中で、豊かな居場所をつくることができて満足しています(薫さん)

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2階は手前に寝室があり、ウォークインクローゼットを挟んで奥にメイクルームを配置。クローゼットの収納はIKEAのもの。

仕上げは既存の梁や柱を露出させ、新設した白い塗装壁を合わせている。合板の天井や2階の床などの木部は、梁や柱とともに柿渋で塗装し、全体の色調を統一した。また、キッチンカウンターは、版築という土を突き固める昔ながらの工法で腰壁を立ち上げている。

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LDKに面して素材感のある版築の腰壁が立ち上がるオープンなキッチン。天板はステンレスですっきりと実用的に仕上げた。

人が集まる場所に素材感のあるものをつくろうと思いました。左官職人の都倉達弥さんの指導で、友人たちにも参加してもらい、ワークショップ形式で版築壁を施工。型枠をつくり、真砂土や淡路から取り寄せた土などを配合して強度や色味を調整し、10cmくらいずつ押し固めて層をつくっていきました(泰彰さん)

古き趣と今の感性が気持ちよくつながる「武蔵境の家」。日本の家の心地よさを改めて感じさせてくれる。

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南側に設けた大きな吹き抜けから、1階を見下ろす。吹き抜けに設けた窓から家全体に光が届く。上下階の視線の抜けやつながりが生まれ、広さを感じさせる。

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浴室の床や洗面の天板は、温泉などで見かける十和田石。

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Before

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After


〈物件名〉武蔵境の家〈所在地〉東京都武蔵野市〈居住者構成〉夫婦+猫一匹〈建物規模〉地上2階建て〈主要構造〉木造〈建物竣工年〉1953年〈建築面積〉51.74㎡〈床面積〉1階 51.74㎡、2階 25.34㎡、合計 77.08㎡〈設計〉ディンプル建築設計事務所〈構造設計〉坂本憲太郎/ KKSエンジニア〈施工〉木心〈左官〉都倉達弥〈庭〉en landscape design〈設計期間〉6ヶ月〈工事期間〉12ヶ月(セルフビルド期間含む)〈竣工〉2015年〈総工費〉1,300万円(セルフビルド部分除く)


※この記事はLiVES Vol.86に掲載されたものを転載しています。

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