キッチンの窓からテラスへと料理を出して、家族や友人たちとバーベキューを楽しむ。あらゆる生活シーンが外部と向き合う家。
text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue
azmaya house
(静岡県静岡市)
- 設計
- エムエースタイル建築計画
- 住人データ
- 夫(30代)会社員、妻(30代)会社員、長女(3歳)
建物のすべての面にぐるりとガラス窓が続く平屋。外周部にキッチン、洗面、デスク、リビングなどの機能が配置され、生活のあらゆるシーンで外の景色と向き合える。この家に住むのは、牧田幸二さん、知里さんご夫妻と3歳の娘さん。元は茶畑だったという敷地は、幸二さんのご両親から譲り受けたもので、現在も敷地内に一部を残した茶畑ののどかな風景が見える。
バーベキューなどを楽しめる庭やテラスをつくって、キッチンの窓から、できたての料理を外へ直接出せるようにしたかったんです。家の中にいても外にいるみたいな居心地を求めていました
そう話す幸二さんは、料理とアウトドアが趣味。キッチンツールやアウトドアアイテムにこだわる延長で、インテリアにも興味を持ち、建築家と一戸建てを建てたいと思うようになったという。念願叶って、静岡に拠点を持つ、エムエースタイル建築計画の川本敦史さんと川本まゆみさんに設計を依頼した。
内と外を分けずに曖昧にして、その境界に人が集まるような空間がつくれないかと考えました。モチーフは公園の〝東屋〞です。テラスやポーチなどの外部の居場所にも屋根を大きく張り出し、軒に守られている安心感がある空間をつくることを心がけました(川本まゆみさん)
外周のコンクリートの基礎は床から1.2m立ち上がる。キッチンや寝室兼ワークスペースのデスクの天板は、基礎と一体となったコンクリートでつくられている。壁は構造のラーチ合板をそのまま露出させ、筋交いや柱も見えている状態だ。床はナラのフローリングがメインだが、ソファがあるリビングは玄関から続くモルタル。つくり込みを最小限に抑えたざっくりとした仕上がりは、緑に囲まれた外の景色との親和性が高く、東屋のような居心地をつくることに一役買っている。
子どもが小さいのでキャンプに行くことが難しいのですが、この家では住みながらキャンプっぽい時間を楽しんでいます。普段の食事もテラスで食べたり、庭にテントを張って寝たりすることも。キッチンが外に面しているので、洗いものをしているときも、季節や天気を感じて気分転換になります(幸二さん)
常に外とつながる牧田さんご家族の日常は、豊かな外部空間とすっかり混ざり合っているようだ。
専門家プロフィール
mA-style architects
左から川本敦史、川本まゆみ。ともに静岡県生まれ。2004年 エムエースタイル建築計画を共同設立し、06年 株式会社エムエースタイル建築計画として法人化。
mA-style architects
- 住所
- 静岡県牧之原市細江212・38
- TEL
- 0548・23・0970
- FAX
- 0548・23・0971
- ma-style@yr.tnc.ne.jp
- URL
- www.ma-style.jp
〈物件名〉azmaya house〈所在地〉静岡県静岡市〈居住者構成〉夫婦+子ども1人〈用途地域〉都市計画区域内 市街化調整区域 用途地域指定なし〈建物規模〉平屋建て〈主要構造〉木造〈敷地面積〉297.53㎡〈建築面積〉95.68㎡〈床面積〉81.98㎡〈建蔽率〉32.16%(許容 60%)〈容積率〉27.55%(許容 200%)〈設計〉エムエースタイル建築計画〈構造設計〉坪井宏嗣構造設計事務所、小山直丈構造設計事務所〈施工〉桑髙建設 〈設計期間〉8ヶ月〈工事期間〉6ヶ月〈竣工〉2015年
※この記事はLiVES Vol.88に掲載されたものを転載しています。
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