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2019年12月27日

たくさんの思い出が詰まった廃校を、再び人が集まる場に。

千葉県の廃校リノベーションプロジェクト

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都心近くのベッドタウンから、房総半島の自然溢れる地域までを含む千葉県。全国6位の人口数ながら、房総半島沿岸の市町村では人口減少、少子高齢化が進み、小中学校の閉校などによる空き公共施設の発生が増加しています。しかし、都心からのアクセスのよさや豊かな自然もあり、ビジネスの可能性は無限大。


そうした地域の魅力を民間企業に改めて知ってもらうため、千葉県では2015年から空き公共施設等への企業進出支援事業の一環として、「空き公共施設活用フォーラム」などの事業を行ってきました。この4年間でマッチングを成功させた自治体は、今どのような状況にあるのでしょうか。民間企業による運営が行われている長南町の「長南集学校」と勝浦市の「清海学園」を取材しました。


「空き公共施設活用フォーラム」とは、千葉県が行っている、県内の各自治体と空き公共施設の利活用を検討する民間企業をマッチングし、地域に新たな交流拠点や雇用をつくり出す試みです。


詳しい仕組みはSMOUT移住研究所の「空き公共施設問題をどう解決するか。廃校の利活用における、千葉県の推進力」を参照いただくとして、2015年からの4年間で誘致に至ったケースは、13市町村28企業。2016年ではマッチング数138件に5企業が進出。2017年は104件で7企業、2018年は154件で10企業とコンスタントに成果が出ています。今回は、こうした取り組みの中から、2018年に開園した「清海学園」、2019年に開校した「長南集学校」についてご紹介します。

距離を超えるデジタル拠点「長南集学校」

長南町にある「長南集学校」は、廃校をリノベーションし、楽しむ・働く・相談する・遊ぶ・学ぶなどさまざまな視点で活用できるようにしたIT交流施設です。運営は、パソコンのリユース販売などを行うリングロー。全国展開の予定がある「おかえり集学校プロジェクト」において、山形県舟形町にある旧長沢小学校を活用した「長沢集学校」に続く2校目で、関東では初の試みとなります。リングローは約20年前に代表の碇敏之さんが「直せば使えるパソコンが廃棄されるのはもったいない」と始めた会社ですが、「集学校プロジェクト」も同じ考えによるものと運営担当の鈴木陽子さんは説明します。ちなみに鈴木さんを含め、どの集学校も運営担当の肩書きは、学校が現役だった時代を忍ばせる「校長」です。

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運営担当の鈴木陽子さん。

「人口が減って廃校になる小中学校は増え続けています。地域の人々や子どもが集まっていた場所をこのまま朽ちさせるのはもったいない。何か有効活用できないかと考えたことが始まりでした。かつての校舎を人がまた集まる拠点にし、さらには弊社のノウハウを活かしたITの必要性や活用方法を身につけてもらえる場にできたらと。(鈴木さん)」


同社が選ぶ空き公共施設は、基本的に廃校です。幅広い用途に利用でき、建物の頑丈さは大きな改修をせずとも使い始められ、地元住民の思い出を残しやすい。プロジェクトのコンセプトもありますが、そもそも校舎には無限大の可能性があると語ります。

「私たちはIT業なので光回線が不可欠ですが、校舎はデジタル教育用の設備が整っている場合が多く、その面では転用がしやすいのです。(鈴木さん)」


千葉県を関東初の校舎に選んだ理由は、都市部からのアクセスのよさにあります。圏央道の茂原長南インターからほど近く、東京本社や埼玉工場にも約1時間半。周辺には取引先の販売会社も多いため、拠点ができることで店舗はもちろん、販売先であるユーザーサポートもできるようになったのが大きなポイントです。一方で、町外から来た企業として、施設を土地に根づかせるための行動も意識しています。


「私は、スタッフがその土地に住むことが大事だと思っています。住人として接するからこそ、まちの皆さんとも本当のお付き合いができるんじゃないかなと。新しく来た場所で住処を自分自身で探すのは難しいのですが、役場のご担当さまや地元の企業さんなど、最初から本当に多くの方にご協力いただきました。でもそのお陰で、『生活の中に仕事があり、仕事の中に生活がある』ライフスタイルを実現できている気がします。(鈴木さん)」


この仕事に就くまでは長南町を知らなかったという鈴木さん。都心から1時間ほどの場所に日本の原風景が残っていることに驚き、子育てをするなら絶対長南町だと確信を持ったのだとか。しかも、長南集学校のコンセプトは「働く女性」。子連れで移住したワーキングママとして自らの考えや感覚を活かしていきたいと語ります。


「東京家政大学の創立者である渡邉辰五郎さんも長南町出身だそうです。女性が社会で自立して活躍すべきという思想が育つ土地柄が昔からあったと聞き、なんとぴったりな場所かと思いました。(鈴木さん)」

「働く女性」をコンセプトにした長南集学校のデザイン

さて、廃校と一口に言っても建物はさまざま。特に千葉県では、一つの自治体に受け入れ可能な廃校が複数存在する場合もあるため、事業者はその中から独自の判断基準で選ぶことになります。例えばリングローでは、廃校が過去にその地域でどのような役割にあったかを見極め、そこから部屋数や設備の状況を鑑みて決定しています。旧長南小学校は想定より若干大きめの規模でしたが、長年の歴史があり、まちの中心にある校舎を空けておくのは地域にも得策ではないと利用を決定。現在利用しているのは本校舎のみ、改装も1階の校長室と職員室、配膳室近辺だけですが大胆なリノベーションにより明るい印象に変わっています。


「『働く女性』をイメージしてデザインしてもらいました。リノベーションはプロの意見を聞きながら細部を決め、施工は地元の会社さんにと、クレヴァー株式会社の田中聡さんにお願いしました。(鈴木さん)」


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校舎の施工を担当したクレヴァー株式会社の田中聡さん。旧長南小学校の出身。

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配膳室をキッチンにするため、床を底上げして配管を設置した。

コールセンターと子どもが遊べるキッズスペースは元職員室を間仕切りで分割し、キッチンはトラックを直付けする半外の配膳室を転用。その他にも見えない部分に多くの工夫があります。


「じつは僕の母校でして、水周りが取れる家庭科室は本来西校舎なんです。配膳室は簡単な手洗いのみでしたから、大きな排水が取れるよう新たに配管をつくり、床を一段高くして水道やガス管を納めました。校舎はRC造なので、一般住宅のように気軽に穴を空けられないし大変でしたね。また費用も限られているので、デザインになるべく近づけられるような施工方法をご提案していきました。(田中さん)」


同じ白壁にするにしても、下地の状況が悪すぎると安価とされる塗装も逆にコストがかかってしまいます。そこでワークショップを開いて地元の人々にDIYで手伝ってもらう一方、手を入れる必要がある部分は壁紙で代用。施工面でのアレンジが加わっていきました。


「田中さんには相当がんばっていただきました。面白かったのが、耐火金庫の扱い。他がきれいになった分、グレーの金庫がとても目立っていたんです。動かすと壁の汚れの差が逆に目立ちますし、運び出すにも費用がかかるということで、田中さんにご相談したら『塗りましょう!』と。(鈴木さん)」


その結果、耐火金庫は黒板塗料で塗られてグリーンに。教室の前後には緑の黒板がつきものだからか、かなりのボリューム感があるはずなのになじんで面白いオブジェになりました。その他にも、コールセンターの授乳室は窓に面しているため遮光カーテンで区切ってプライベートな空間を確保しています。


「一点反省するとすれば、施工段階から現場に入るべきでした。子どもの転校手続きもあり、実際に長南町に入れたのは開校一週間前だったんですが、デザイン会社も東京ですし、現場の田中さんと直に話せる人がいなくて。その経験から、4月に開校する2つの集学校の校長先生たちには、工事が始まる2カ月前には現地にいるべきだと伝えたほどです。(鈴木さん)」


「確かに、電話ではわからないことなど一つでも確認できないと作業が止まったままになるんです。この辺は音も気にならないので遅くまで作業はできるんですが、お電話するのも気が引けますし。遠方の地域ほどこの傾向はあるかもしれないですね。(田中さん)」


こうした反省点はあったものの、多目的スペースの「今日室」の一部屋にはマットとおもちゃがあるキッズスペース、スマホやPCの電話サポートを行うコールセンターと授乳室、キッチンなどが無事完成。現在では、元からあった空間のようにしっくりなじんでいます。


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《今日室(きょうしつ)》
2部屋ある多目的ルーム。玄関に近い部屋は校長室と応接室、コールセンターに面した奥の部屋は職員室を転用。用途は問わず利用でき、当日もパソコンやスマホのサポートを受ける住民が。特に部屋の世代による使いわけはないが、入口側は大人、奥側は子どもたちが使うことが多いという。温かみとモダンな印象を与えるウッドの斜め張りの床もポイント。

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《シンボルツリー》
入ってすぐにあるシンボルツリー。リアルな木を想定していたが、「周りのベンチに人が座っていたら楽しいのでは」という意見や生木の手入れの難しさもあり、DIYで木材を組み合わせたオブジェとして制作した。

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《コールセンター》
扉はセキュリティ付。安心してママが働けるよう、向かい側にキッズスペースを配置し、仕事中でも様子が見られるよう2面の窓が作られている。「開閉窓をつけるため、パーテションを曲線から直線に変更しました」と田中さん。

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《キッズスペース》
働く女性なら子どもと出勤できる環境が必要との考えから、始業から終業まで子どもが楽しめるスタッフが常駐する空間も設置。安全性を考えたウレタンマット敷で、ぬいぐるみや積木などのおもちゃ、小学校のものをそのまま利用した机と椅子がある。グレーの耐火金庫は黒板塗料でペイントした。

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《キッチン》
グラウンド側が全面ガラス窓で光がふんだんに入るキッチン。イベントごとから日常までいつでも利用でき、一角には山形の集学校で作り方を習った鈴木校長自作の漬物も。

またこのアイランドキッチンは、オリジナルデザインを制作している田中さんの提案です。DIYイベントで制作したカウンターに沿った材質で新たに制作したものだけに、リノベーションならではの統一感が感じられます。


「うちでもホームパーティをよくしますが、アイランドキッチンだとお母さんたちが自然にキッチンを囲んで話しながら作業を分担しているんですよね。ですからこういう場所こそ、4方向使えるアイランド型のほうがいいのではとご提案しました。(田中さん)」


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《古部屋(こべや)》
集学校の核とも言える空間。地元の人にとっての大切な思い出を可能な限り昔のまま展示し、卒業生が見に来た時に記憶を辿れる形にしている。

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《職in室》
空き教室は、中学校の美術教諭で退職後木工アーティストとして活動する住民のアトリエとして利用されている。

リノベーション部分ではない教室は住民が申請すれば利用できます。写真のように、この空き教室では、近隣の方が木工アトリエとして利用しているのだそう。グラウンドや体育館は町管理のため、住民の方が町に申請すれば利用できます。少年野球チームやミニバス、ママさんバレーや地元のイベント等、地元の方々の活動の場所にもなっています。集まる学校と書いて集学校という言葉の通り、いろんな職業や趣味の方々が空き教室を活用してくれたらと語ります。

長南集学校が掲げる3年計画

オープン当初は高齢者が中心でしたが、休日も開館するようになってからは学生の利用者が増えました。開校して約半年。小学生が遊んだり、中学生が宿題したりと休日や放課後を思い思いに過ごす場にもなってきたようです。


「じつは3年計画を立てていて、1年目の今年は集学校を広く知っていただく年かなと。近辺のお家に一件ずつご挨拶に伺い、パソコンやスマホの困りごとをすぐ聞ける場と説明させてもらっているところです。(鈴木さん)」


そうした会話の中から見えた地域の課題や問題があれば、2年目はその解決に動き、3年目にはそうした活動をする場として定着させる。そんな流れを想定していると鈴木さん。


「リングローさんが来てくれたからできることが増えた、と言ってもらえる存在になれたら嬉しいですね。よりよい暮らしを目指して楽しく活動していれば、町外の人も『長南町が面白そう』と注目してくれるかもしれませんし、町のよさを見直すきっかけになって出ていく人も減ればいいなと。(鈴木さん)」


不定期ではありますが、存在を知ってもらうためのイベントも開催。企画しているのは3名の長南町出身のスタッフです。グラウンドの除草を行うヤギの採用も彼女たちの提案なのだとか。まさに、地元の暮らしや知識に長けた人だからこそのアイデアです。

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ヤギは季節労働制。冬の間は草がなくなるため、一旦牧場に戻って芽吹く春にまた戻ってくる。


「例えば、グラウンドは町の管理ですが、草刈りなどの作業は、地元の有志の方々がやっておられました。私もその作業に参加させてもらっていますが、時間的・体力的にかなりの負担があると感じていました。シルバーのボランティアさんもおられますが、全体の負担をもっと軽くできないかと話していた時にスタッフがヤギ除草を教えてくれて。こうした、なんとかしたい困りごとからイベントの企画は始まる場合が多いですね。(鈴木さん)」


評判は徐々に広まり、保育所の子どもたちがヤギを見に来たり、まちのイベントで声をかけられるようになったりしたのだとか。また、災害時の避難場所としての提供はもちろんトイレもおむつ台付きのだれでもトイレに改装するなど、公共インフラとしての役目も意識しています。校長やスタッフの課題意識が、校舎の存在を拡散するきっかけへと繋がっているのです。


また、将来的には、各都道府県に1校の展開を計画している集学校。その独自ネットワークを活かして、各地に起こるであろう、似た課題の解決ノウハウを共有できるようになればと考えています。



「また、スタッフだけでなく、各拠点同士のつながりもつくれたらと。例えば、山形と千葉は離れていますが、LINEやMessengerといったSNSが交流にすごく役立っているんですよね。集学校同士で一度交流ができれば、デジタル経由で距離を超えたコミュニケーションができますし、実際私も山形の住民の方に、SNSを利用して漬物の漬け方を伝授してもらっています。そうやって、住民の方はSNSが使えるようになり、私は美味しい漬物を直に教えてもらえて、WIN-WINの関係です。そんなネットワークづくりのお手伝いができれば素晴らしいと思うんです。(鈴木さん)」


ここを拠点として、年輩の人にこそネットやデジタルの便利さを伝えて使いこなしてもらいたい。年輩に多いデジタルへの抵抗感や不安感を減らし、暮らしをより豊かにしてもらいたいと力を込める鈴木さん。かつての旧長南小学校は、その面影を残しながらも明るく光いっぱいの人が集まる長南集学校となり、人々にデジタルの便利さを伝える新たな活動を始めています。

勝浦の素朴なよさを伝えるきっかけとしての「清海学園」

さて、同じく廃校を活用している勝浦市の「清海学園」。千葉市に本社がある株式会社パクチーが、旧清海小学校の運営に手を挙げコワーキングスペース・シェアオフィスとして再生させました。千葉県内でさまざまなスペース運営を展開してきた代表取締役の坂本純子さんは、廃校や遊休施設の支店利用を積極的に進めてきました。

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代表取締役の坂本純子さん。


「まさか自分が運営側になるとは思いませんでした。でもこの校舎を見た時、『清海』という清々しい名前や駅からほど近い海岸沿いの立地、土地に魅力を感じて何かやりたいと感じたんです。勝浦市役所の担当さんの熱心さも大きかったですね。(坂本さん)」


鵜原駅から徒歩でも着ける立地は、確かに学生や自動車を持たない層にも優しいといえます。そして、坂本さんの心を動かした勝浦市の可能性。魅力について一言質問するだけで、海も山もある景観に豊富な海産物、マリンスポーツやゴルフ、温泉もあるリゾート地な上に、竹林など幻想的な山里のよさまで持ち合わせていると、溢れんばかりのオススメが飛び出します。


「県外からの知名度は高いのに、自然にも地元の方々にもどこか人里離れた素朴さが残っているんですよね。人口減少でこの魅力を縮小させてしまってはもったいない場所です。来てさえいただければ、皆さんにもそのよさがわかっていただけるはず。清海学園がそのきっかけになればと思って運営しています。(坂本さん)」


当時、ツアーで回った10校ほどの中で最も明るくいきいきとした印象を受けたのだとか。そんな「清海学園」の現状をご紹介しましょう(運営や廃校活用の詳細は「空き公共施設問題をどう解決するか。廃校の利活用における、千葉県の推進力」)。


まず、校舎は総務省による「ふるさとテレワーク推進事業」の助成金を活用しながら、職員室を始めとする3つの教室をコワーキングスペース、シェアオフィス、テレビ会議室に改装。黒板などの既存設備は活かし、パーテションで区切る整備などを行いました。シェアオフィスやコワーキングスペースの作業は長時間になりやすいためアーロンチェアなどを導入し、利用者の健康にも留意。テレビ会議室では4K対応のテレビや通信システムを設置するなど、コストを抑えつつ機材を充実させる形を取っています。


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《校舎》
旧清海小学校を利活用した「清海学園」。教室をすべて活用できているわけではないが、グラウンドや体育館、音楽室などを利用したイベントを多く展開している。

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《教室》
108年の歴史がある旧清海小学校。掃除用具箱に書かれた魚のイラストや木製ドアの丸いガラス、トイレの設えなど今には見られない独特なデザインは、3代目の校舎。卒業制作などはなるべくそのままにしている。

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《コワーキングスペース》
補助金で整備したコワーキングスペース。一部壁に色を塗り、カーテンやプロジェクター、エアコンを設置して手直しした。コスト問題もあり内装自体はほぼそのままだが、当時の素朴な雰囲気が残っていると地元民に好評。

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《シェアオフィス》
入口にはセキュリティシステムがあり、その部分にだけ色を塗って調子を少し変更した。パーテーションで区切り、黒板などをそのまま活かして使えるようにしている。利用代金は月2万円から(会議室、休憩室なども利用可)。坂本さん曰く「コワーキングスペースで仕事をして海や散歩に行かれる方のほうが多いです」。ちなみに窓際のオフィスには合宿型ドローンスクールが入っており、グラウンドを活用して指導している。

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《くつろぎスペース》
学校時代は全校生徒の交流スペース。ソファとテーブルを持ち込んでリラックススペースに変更した。

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《テレビ会議室》
本社とリアルタイム会議が可能。4K55型テレビのほか100インチプロジェクターやスクリーン、Skypeや専用のテレビ会議システムを導入している。

シェアオフィスはほぼ契約済み。運営受託時の目標の一つであった企業誘致を実現し、現在は清海学園を拠点とした地域振興や移住に繋がるような企画を考えながら、地元とともに進める施設運営に励んでいます。その成果もあり、文化祭のほか「理科の修学旅行」には小学生80名が参加。8月には盆踊りやキッズキャンプ、40名規模の勝浦ツアーと、世代やジャンルを問わない活発な利用がされています。


同じ廃校でも、考え方や業種によって活用方法はさまざま。かつての住民が集まっていた校舎をどのように再生し、新たな拠点としていくのか。周辺地域の住民の思いを丁寧に掬い、次世代のライフスタイルと融合させることができればチャンスも無限大に。廃校を通じた地域の可能性を考えることは、企業にとっても有意義な活動であり、地域貢献となることでしょう。




文 木村 早苗
写真 伊原 正浩、池田 礼

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