“パッシブハウス”とは、ドイツのパッシブハウス研究所がつくった建築メソッドで、環境にも身体にもやさしく、住み心地の良さを追及した省エネルギー住宅のことです。パッシブハウスに認定されるには、平米数あたりの冷暖房負荷や一次エネルギーの消費量、気密性能に関する厳しい条件を乗り越える必要がありますが、熱効率がよくエコなうえに、快適に暮らせるというメリットから、注目を集めています。
そこで今回は、パッシブハウスを目指した建築事例をSuMiKa編集部が厳選しました。理想の家を考えるうえでのヒントにしてくださいね。
1:sakuramori house
建築家が「雪との関わりを楽にし、そして四季との関わりをより楽しめる、コンパクトなパッシブハウスを目指した」という建築事例です。敷地は豪雪地である秋田県横手市内。豪雪との関わり方を楽にするため、激しく風雪の当たる北西側には窓を設けず、屋根から滑り落ちた雪と降り積もる雪をためて置く事で雪のバリアを作り、生活環境を風雪から守るように設計されています。
また、北西からの風雪により軒先にできてしまう雪庇(せっぴ)を想定し、その下にはメンテナンス用を兼ねたテラスも設けています。厄介なはずの豪雪を、快適な住環境に活かすデザインですね。
生活スペースの全てを1Fに配置し2Fは天井の低い大きなロフトとする平屋のようなデザインです。
南面に設けられた大きな開口部から差し込む貴重な冬の陽射し、冷たい風雪から生活を守るバリアとなる雪の壁。空や太陽そして雪、昔からその地にあたりまえにあった環境を、適切に建物に取り込み活用することで、雪との関わりを楽にしています。
【事例詳細】
・構造:木造(全般)
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2:桜並木を眺めるパッシブハウスー屋根のない銀色BOXー
銀色のガルバリウムと、レッドシダーの外壁の素材同士のコントラストが美しいパッシブハウスです。
天井裏には30cm以上の断熱材を入れながらも、庇はうすくすっきり。箱のような形状からも、まるで屋根がないような感じがします。
断熱材を入れると外気の影響を受けないので、床や壁、天井、窓壁の表面温度が整い、部屋の中の温度ムラが無くなります。その結果、余計な対流がなくなるため身体に負担がかからず、エアコンの温度設定や風量が抑えられて過乾燥を防ぐことにも繋がります。
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3:大屋根光庭の家/蒲郡
大屋根の中央棟を中心に、南東に玄関や和室の白い外壁の南棟、北東に室1の北棟、西にキッチンの西棟を、平屋で分散配置することで光庭が生まれています。
分散配置にすると外壁面が多くなるので、通風や採光にも有利。袖壁は西日をさえぎったり、風をとりこんだり、パッシブハウスの考え方に基づく建築的な“しかけ”になっています。
パッシブハウスのメソッドは、太陽から熱を取り入れ、風を通して流すというエネルギーの出入りを重視します。壁の角度や窓の位置などを工夫してより良い流れをつくることも大切です。
【事例詳細】
・構造:木造軸組住宅(在来工法)
・敷地面積:300㎡以上
・予算帯:3,000万円以上〜3,500万円未満
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4:Cardigan Cardigan!!
敷地前面に木組みをあらわしにした大きな屋根を架けた木造2階建ての住宅です。
大きな屋根は道路で遊ぶ子ども達にとっては強い日射しや、急な通り雨をしのぐ東屋となり、家の中でくつろぐ家族にとっては強い西日や北西風、そしてプライバシーを調節してくれる優しい傘となります。
1Fは床座りで過ごすLDK、2Fには個室群を配置。冬場の日射を取り込む大きな木製サッシ、1Fの空気を2Fそして天窓までスムーズに届けるスノコ床等、自然エネルギーを有効に活用しています。
冷暖房はルームエアコンのみに頼り、自然エネルギーを有効に活用したパッシブハウスを目指しています。
【事例詳細】
・構造:木造(全般)
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快適な暮らしと省エネを同時に実現するパッシブハウス。そんな家が増えていけば環境にとってもよいことですよね。今回は省エネでエコなコンセプトの建築事例をご紹介しました。
気になった間取り・建築イメージがありましたら、ぜひSuMiKaで建築家に相談してみてくださいね。
※この記事はSuMiKaの過去掲載した建築事例をもとに作成しています。