リモートワークの導入やパラレルワークなど、働き方が多様化し、平屋に注目が集まっています。
都心部では坪単価が高くなり実現が難しい平屋ですが、工夫次第で建設費を安く抑えることも可能です。
今回は、そんな魅力的な平屋の特徴、メリットやデメリットについて解説します。
平屋が人気な理由
平屋が人気な理由やメリットはたくさんありますが、建築的な観点では下記の4点です。
1.すべての部屋が同一階でありバリアフリーである
2.動線を短くでき、建物面積を小さく抑えることが可能
3.外観のプロポーションが美しい
4.メンテナンスが容易
1.すべての部屋が同一階でありバリアフリーである
当然のことですが、すべての部屋が1階で完結することで、上下階の移動が生じません。老後も安心してバリアフリーの住居として利用することができます。
若い頃は2階への移動はそれほど苦にはなりませんが、老後の2階への移動は、体への負担が大きいだけでなく、危険でもあります。
また、将来子どもが独立し、老夫婦二人となった際に、水周りを広く確保したり、平面的に余裕をもったワンルーム形式のプランへ変更し、車椅子になった場合でも、介護が必要となった場合でも、容易にバリアフリー対応可能に改修することができる点も平屋の特徴です。
2.動線を短くでき、建物面積を小さく抑えることが可能
上下階の移動を伴いませんので、動線が短くなるだけでなく、階段の面積も削減することができます。また、平面的な工夫により、廊下面積も大きく削減することができ、そのため建設費用を抑えることが可能です。
例えば、LDKをプランの中心に配置し、そこから直接各室へ入る計画とすることで、リビング→キッチン→洗面→お風呂や、リビング→寝室、リビング→子ども部屋など、廊下を介さないプランのため動線を短くすることができ、廊下面積を削減することに繋がります。
3.外観のプロポーションが美しい
総2階や総3階建ての建物の外観シルエットは、横に対して縦方向に長いプロポーションとなります。一方、平屋の場合は、縦に対して横方向に長いプロポーションとなります。
2階建てや3階建ては、およそ高さ7m~10m程度となりますが、平屋の場合3m~4m程度と、人のスケールに近づいてきます。
建物が人のスケールに近づいてくることで、建物の重心が低く感じられ、安定感や安心感の感じられる外観となります。
また、平屋の縦横比はおよそ、5:7~8に近しいものになることが多く、デザイン上も黄金比や白銀比に近づくことで、美しいプロポーションとなることが多くなります。
4.メンテナンスが容易
建物は将来的なメンテナンスが必要となるものです。そのメンテナンスのなかでも、高コストとなるひとつが外装のメンテナンスです。
外装メンテナンスは一般的には、建物の周り全てに足場を組み、塗装や防水を行います。また、メンテナンス期間は、窓を開けることもできません。
平屋の場合は、建物高さを低く抑えることができるため、脚立でメンテナンスが可能となり、建物全面の足場が不要となります。
メンテナンス期間のストレスが軽減できるだけでなく、足場費用の削減にも繋がります。
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平屋のデメリット
いいことづくしの平屋ですが、デメリットもあります。主に下記の3点に集約されます。
1.坪単価が高くなる
2.土地面積が必要
3.浸水時はすべてが浸かる
1.坪単価が高くなる
平屋の坪単価が高くなる理由としては、建物の構造的な要因があります。
建物は、上階へ積みげあげれば積みあげるほど、坪単価は安くなる傾向があります。それは建物コストの高い割合を占める基礎と屋根の面積に対して、床面積を多く確保できるためです。
平屋の場合は、基礎=床面積=屋根面積となり、総建築費用を単に面積で割って算出する坪単価の算出方法は、割高となる傾向があります。
2.土地面積が必要
平屋を建てる場合、すべて1階に必要諸室を配置する必要があるため、ある程度まとまった土地面積が必要となります。
建築基準法では、土地面積に対して建物の建てられる割合が地域によりそれぞれ定められています。例えば、40坪の土地があったとしても、建築基準法の制限が建蔽率50%と定められている地域の場合、40坪×50%=20坪までしか平屋を建てることができません。
3.浸水時はすべてが浸かる
昨今のゲリラ豪雨は、過去最大の降雨量を上回ることがあり、地域全体が浸水することもあります。
平屋の場合は、すべて浸かってしまう恐れがあるため、平屋を建てる場合は、地域のハザードマップ等を確認する必要があります。
平屋の建築事例2選紹介!
大雄の家
平屋ならではの、重心を低く抑え、ゆったり大らかな美しいプロポーションで、周りの田園風景に溶け込んだ建物です。
平屋の場合、奥まった部屋への採光が難しいですが、ハイサイドライトを設けることで、奥まった部屋まで採光が行き届いたプランになっています。
また、奥まった部屋を照らすハイサイドライトも外観のアクセントになっています。
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平尾の家
外観はプライバシーに配慮した閉じたデザインで、白い箱型が美しいプロポーションです。
道路に対して、デザイン上開口部を控えていますが、中庭形式で中庭に対して大きく開くことで、内部は明るく風通しのよいプランになっています。
また、リビングと中庭を中心としたプランで、動線も効率的となり、総面積を抑えることに繋がっています。
まとめ
平屋は、土地面積の制限を受けたり、坪単価が割高となるデメリットがあり、ハードルがやや高く感じられるかもしれません。しかし、プラン上の工夫により、総面積を小さく抑え、総建設費を抑えることで、デメリットを解消することができます。面積とコストの問題は克服することが可能です。
メリットに注目すれば、動線の効率化だけでなく、将来のバリアフリー化や、メンテナンス費用の抑制、美しいプロポーション等、平屋は魅力満載です。一生の住まいとするのにふさわしい平屋を検討の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
文:onearchi(一級建築士)
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