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LiVESの家
2014年10月 8日

足場板の存在感で雰囲気をつくる。絵になる部屋づくり

床全面を足場板で仕上げ、主張ポイントを
絞り込むことで、全体のまとまりと、
シンプルだけど味わいがある空間を叶える。

text_ Yasuko Murata photograph_ Kai Nakamura

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独立型のキッチンを囲むように、L字型に広がるリビングダイニング。テーブルとイスは「Pacific furniture service」。

田中邸

愛知県名古屋市
〈設計〉 Daigo Ishii Design

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・ 住人データ
田中さんご家族
康介さん (30歳) 会社員
永里子さん(29歳) 専業主婦
ぐりこ 猫


「家具などのものをあまり置かなくても、それだけで絵になる空間にしたかったんです」
 そう話す田中康介さんは30歳の会社員。奥さまの永里子さんは29歳で、1匹の猫と暮らしている。玄関から通路、個室、キッチン、リビングダイニングまで全面に渡って続く足場板の床のインパクトは大。ペンキ汚れなど、使い込まれた風情が、インテリアとして主張している。
「ラフなテイストが好きだったので、足場板は使ってみたかったのですが、床に使うことは正直、悩みました。でも、普通のきれいめの床にしたらリノベーションする意味がないと思い、思い切りました」(康介さん)

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左/通路から個室まで足場板の床が続く。
右/カラフルな板が乱尺張りされたドアが出迎える玄関。足場板の床が奥へと続く。天井は既存仕上げを撤去し、直天井を白く塗装。

 リノベーションした築20年、100㎡近い床面積があるマンションは、康介さんのご両親が所有していたもの。設計は、もともと友人だった石井大吾さんに依頼した。
「面積が広く、予算の関係もあったので、間取りはほとんど変更せずにリノベーションしています。部屋ごとに内装を変えると、その部屋ごとに置くものを考えなくてはならなくなり、それは田中さんご夫妻の意向にも添わない。使う素材を絞り込み、全面を足場板で仕上げることで、床の存在感によって、空間をまとめています」(石井さん)

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左/キッチン本体は既存のまま。造り付けの壁面収納を撤去し、床は足場板仕上げに。
右/面積が100㎡近くもあるため、状態の良い足場板の入手には苦労したという。

 足場板は残っていた釘を抜き、ささくれを丹念にやすりがけして仕上げた。ドアも、長尺にカットした足場板を乱尺張りに。玄関正面のキッチンへのドアはカラフルに塗装した板をパッチワークし、変化を付けた。壁は、既存のクロスを剥がして出てきた下地を白く塗り上げ、コンクリートの躯体現わしの直天井や足場板の質感とのバランスを整えている。

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左/玄関を入ってすぐに目に入るキッチンへのドアのみカラフルに塗装してアクセントに。
右/既存クロスを剥がして出てきた下地を白く塗装した壁。わずかに下地の質感が見える。

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左/コンクリート躯体現しの直天井。洗濯物干しをリメイクした照明は「Sahan」で購入。
左/猫のいたずら防止もあって、床面に置くものを少量にしている。ソファは「NOYES」。

「雰囲気のある部屋をつくるためには、家具などの調度品のコーディネートも大事だけど、床や壁、天井、サッシの色や幅木といった、ベースとなる空間の方が重要だと思っていました。実際、キッチン本体は既存のままですが、空間が変わると全然見栄えが違います」(康介さん)

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左/工業的なドアノブは「PFS PARTS CENTER」で入手。
右/収納は既存を活かしているが、白く塗装し取っ手を変更した。

 見晴らしの良いリビングダイニングは、最低限の家具だけを置き、その眺望を満喫。すっきりとした空間だが、殺風景ではないのは、足場板の存在感によるものだろう。
「もうひとつ、早い段階で予算を600万円と決めて取り組んだことも、間取りや仕上げ材選びで悩まずに、スムーズな空間づくりができた大きな要因です」(康介さん)

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抜群の眺望を楽しむスペース。ダクトレールに吊りフックを付けて雑貨を飾っている。HONDAの「MOTRA」もインテリア然と佇む。


〈物件名〉田中邸〈所在地〉愛知県名古屋市〈居住者構成〉夫婦+猫〈建物規模〉25階建(20階部分)〈建物竣工年〉1993年(築21年)〈専有面積〉99.87㎡〈バルコニー面積〉47.51㎡〈設計〉Daigo Ishii Design 石井大吾〈施工〉古賀造 古賀亮平〈設計期間〉2ヶ月〈工事期間〉1ヶ月〈竣工〉2011年〈総工費〉600万円


Daigo Ishii

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石井大吾 1981年 千葉県木更津生まれ。 武蔵野美術大学卒。fuse-atelier、ブルースタジオを経て2008年 独立。Daigo Ishii Design主宰。家具、インテリア、建築などのデザインを手がける。設計活動のほか、09年 gallery「FEMTE」を設立し、企画・運営に携わる。

Daigo Ishii Design

東京都中野区新井2・51・12
FEMTE 2F
info@daigoishiidesign.com
http://daigoishiidesign.com/ http://gallery-femte.com


※この記事はLiVES Vol.65に掲載されたものを転載しています。

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