「暮らしのものさし」では、ただ消費者として暮らしを営むのではなく、自分の暮らしをデザインする、“暮らしのつくり手”たちを紹介しています。※この特集は、SuMiKaとgreenz.jpが共につくっています。
20棟の小屋めぐり、とれたて野菜マルシェ、ライブ小屋ビルディング、心地よい音楽。
避暑地でさまざまな小屋を巡る夏フェス「小屋フェス」は、7月25日(土)から8月2日(日)の9日間、長野県茅野市の尖石遺跡周辺で開催中です。
家の新築から棚ひとつまで、こだわる人とかなえる専門家が出会う場を提供する「SuMiKa」が企画運営する「小屋フェス」。
今回は、オープニングのトークイベントや会場内の小屋を、ダイジェストで紹介します!
なぜ今、「小屋」なのか?
まずはオープニングトークイベント「なぜ今、小屋なのか?」。
そもそも家を建てることは、一生に一度あるかないかの大きなライフイベントですが、お財布との相談で、住みたい場所に住むことが難しかったり、こだわりがあっても建て売り住宅を選ぶことになったり…。 “家”について、それほど選択肢のない時代が続いたのではないでしょうか。
そんな家えらび、家づくりの残念な部分を解消しようと、家を建てたい人と専門家の出会いをサポートし、新築の一戸建てだけでなく、例えばミニカーが大好きな子どものためにミニカーを置く棚をつくってあげるなど、「もう少しこうなったらいいのに」と思うポイントをかなえてくれるWebサービスを展開する株式会社SuMiKaは、「好きに暮らそう」というメッセージを発信しています。
佐藤さん 自分らしい暮らしかたって、聞かれてもなかなか答えられませんよね。でも「どんな小屋を建てたい?小屋でどんなふうに過ごしたい?」と聞かれたら、いろんな制約がはずれて、思いがけない自分の欲求に気づいたりもする。小屋って、「好きに暮らす」ひとつのアイデアでもあるんです。
また、今回は長野県茅野市との共催をするにあたって、茅野市の地域遺産である“縄文文化”に、小屋との共通点を見つけたのだそう。
佐藤さん ここはかつての縄文文化が栄えた地なんですが、茅野市が縄文文化を取り入れた暮らしかたをしましょうという指針をつくっていて。「創造的に、共生しながら、小さく暮らす」とあるんです。これはまさに小屋そのものじゃないかと。
例えばシェアハウスの個室を「小屋」に例えると、最低限の持ち物やスペース以外はみんなでシェアをして使うなど、小さな暮らしは、必然的に外とのつながりが濃くなります。どう共生しながら創造的に暮らすのか。小屋そのものだけでなく、そこから生まれる関係性や、暮らしかたにも魅力があるといえそうです。
そして唐品さんは、小屋は、住まいが“自分ごと”になりうるちょうどいい規模感だといいます。
唐品さん これは持論ですが、小屋はつくるものだと思っていて。小屋って、どんどん建ち上がっていって、「なんだこれでいいんだ」という感覚を持てることがすごく楽しくて。
このステージだって、番線という針金で木と木を結んでいるだけ。今までブラックボックスで手が出せなかった家に対して、ひとつひとつ腑に落ちて、家が“自分ごと”になっていく。YADOKARI小屋部の小屋づくりでも、みんな笑顔で帰っていくんですよね。
昨年10月に開催された「小屋展示場」で小屋を出展した鈴木菜央さんは、出展する際と、いったん解体して自宅に建て直す際に、合わせて100名ほどが小屋づくりに参加してくれたと話します。
菜央さん 小屋をつくるのと同時に、コミュニティもつくっているんですよね。ひとりでは建てることは難しいけど、みんなでやればできてしまう。この感覚って大事だなと思っていて。
自分の家だけではなくて、まちのこと、地域のことでも、何かあったら「じゃあ俺たちでつくろう」っていう意識を持てるかどうか。DIY(Do It Yourself) はもちろん、DIT(Do It Together)のカルチャーが、社会のいろんな風穴を空けていくと思うんです。
小屋は、「好きに暮らそう」のアイデアであって、答えではありません。それでも、みんながつながったり、刺激しあったり、実験しあったりできる、風穴を空けやすいことのひとつなのではないでしょうか。
石畠さん 小屋って、もともとは終戦直後のバラック小屋がありましたけど、それを“いいおうち”に変えていこうというのが建築基準法で、今小屋をつくろうとすると、今までつくってきたルールに少し歯向かうようなところがあるんですね。
でも、ガチガチのルールで固められた社会じゃなくて、もうちょっと楽しく変えていきたいし、そこに未来があるんじゃないかなって。
例えばパン屋を開業したいときには、みんなで小屋を建てて、石釜をつくれば開業資金が一気に下がるなど、小商いのスタートアップや経営をやりやすくしてくれる「小屋」。
「小屋」は、暮らしだけでなく、ビジネスのありかたまでひっくるめて、社会に大きな変化をもたらしてくれる可能性があるのです。
20人いたら、20通りの小屋がある。
小屋フェスの中心にあるのは、もちろん「小屋」。会場には、建築家、工務店、クリエイターが腕をふるった20棟の小屋を大自然の真ん中で体験することができます。
それでは、実際に「小屋フェス」で出会える小屋を、少しだけ紹介していきましょう。
こちらの小屋は、親子の会話を増やすための空間を提案。パパは仕事や趣味をしながら、子どもは得意なお絵描きを。時には愛犬も一緒にお昼寝…。
遠出をしなくても、小屋でゆったりとした休日を過ごす、そんな一日をイメージしてつくられました。会場の子どもたちがまっ先に目指し、「あのおうちで遊びたい」という光景が印象的でした。
日本の床材の代名詞でもある「畳」が敷かれた小屋。まるで庭園にある茶室のような雰囲気。日本家屋とともに庭に置くのはもちろん、こんな小屋が点在する和カフェがあったらたちまち人気スポットになるのではないでしょうか。中に座って、外の景色をじっくりと眺めたい小屋だなと感じました。
8角形が目を引く、ドームハウス。現代の竪穴式住居の提案としてつくられました。中に入ったら、ひとりで読書を楽しんだり、友人と語り合ったり。こもって長い時間を過ごしたくなるような小屋だと思いました。自然を感じて、共生する“縄文文化の暮らしかた”を体感できそうです。
「I’M MINIMALIST.」というメッセージが飛び込んできた小屋。無駄なものを削ぎ落し、シンプルに生きる、世界中を旅する小さな家というコンセプト。ミニマルで洗練された空間は潔くて、好きな場所にこの小屋を置いて、“ここで暮らす”というリアルなイメージがつきました。
こちらは、「小屋フェス」の会場入り口に置かれているゲート。出展小屋ではないのですが、小屋そのもの。小屋フェスのゲートやメインステージ、看板といった会場設営は、長野県諏訪郡で活動する空間設計ユニット、グランドラインが担当。現在は使われなくなったような木材を、番線という針金で留めるという原始的な手法で建てる。そこに建ち上がる小屋に、小屋の原点を見せられた感じがしました。
1日1棟、みんなで小屋をつくろう!
小屋フェス期間中、毎日行われている「ライブ小屋ビルディング」では、10:30から14:30の4時間ほどかけて、つくる内容はその日のお楽しみという小屋づくりワークショップが行われています。
講師は、小屋フェスの会場設営を行ったグランドライン(徳永青樹さん、藤原一世さん、長久保恭平さん、鷹見秀嗣さん、矢崎典明さん)とYADOKARI小屋部部長の唐品知浩さん、週末にはデザインユニットpointの長岡勉さんが加わるという豪華メンバーが担当。
集まったメンバーでセッションを繰り返しながら、地元で間伐した生木を番線で結ぶというもっともプリミティブな手法をベースに、どんどん目の前に建ち上がっていく小屋。その場の空気と参加者によって毎日違う表情が生まれるだけでなく、「これでいいんだ」「家ってこうやってつくれちゃうんだ」など、たくさんの気づきを持ち帰ることができます。
小屋が建つと、なんともいえない達成感。参加した誰もが笑顔で帰っていくのが印象的でした。参加費は無料。気になったら作業ひとつだけでも参加OKなので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
「小屋」は、暮らしかたや働きかた、私たちが生きる社会やその関わり方など様々な観点で、ほしい未来をつくるための、ひとつの“鍵”なのかもしれません。
みなさんも、遊び心だけ持って、小屋フェスに行ってみませんか?
(写真:砺波周平)
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この夏、日本最大級の、暮らしを楽しむ「小屋フェス」開催! by SuMiKa
遊び心だけ、持ってきてください。 20棟の小屋めぐり、とれたて野菜マルシェ、DIY ワークショップ、心地よい音楽。日本初「小屋フェスティバル」(小屋フェス)は7月25日からの9日間、長野県茅野市で開催。