家で仕事をしながら、子育ても楽しむ、オープンスタイルの空間。やさしい素材や色にもこだわって、子どもに安心な家づくり。
text_ Akiko Fujiki photograph_ Takuya Furusue
桜丘の家(東京都世田谷区)
- 設計
- 野島耕平
- 住人データ
- 耕平さん(36歳) デザイナー、美奈子さん(36歳) デザイナー
すみれちゃん(1歳)
閑静な住宅地の中にあるマンションの一室に、野島さんご夫妻の住まいはある。以前は賃貸の一戸建てに住んでいたが、妊娠を機に、リノベーションを前提として築30年の中古マンションを購入。企業デザイナーとしてオフィスや子ども施設の空間デザインを手掛けるご主人の耕平さんが、設計を担当した。
玄関扉を開けると、目の前に広がるのは広い土間。予想を心地よく裏切るような、広く、スタイリッシュな空間だ。
「お客さまがフィッティングに使うこともあるので、非現実的な空間にしたいと思いました」
と語るのは、服飾デザイナーの奥さま、美奈子さん。既存の玄関と個室をつなげた玄関ホールは、子どもの気配が感じられないスマートな印象だが、帰宅時にベビーカーを置いたり、子どもを遊ばせたりするのに重宝しているという。
夫婦でお互いのライフスタイルを確認し合いながら決めたプランは、LDK とワークスペース、ベッドスペースをつなげたワンルームスタイルの間取り。既存の壁を取り払い、家全体を明るく、広く見せている。
天井は高く上げ、ネイビーでカラーリング。胸の高さまで立ち上げた仕切り壁を新たに設け、リビングとベッドスペースをさりげなく仕切っている。ベッドスペースは小上がりにして、下を収納に。日中は布団類をここにしまい、子どもの遊び場として活用している。
キッチンと絶妙な角度で連続しているダイニングテーブルも、耕平さんがデザインしたオリジナルだ。「キッチンに立ったときに視界が広がるし、子どもにまで目が届くので安心です」(美奈子さん)
現在1歳となるすみれちゃんは、キャットタワーとして立てた流木の周りで遊ぶのがお気に入り。窓辺のワークスペースで仕事をしながら、ときにはキッチンで料理をしながら、まだ幼い我が子の様子が常に感じられる住まいとなった。
将来、個室が必要になった時はどうするのだろうか?
「家については10年スパンで考えています。10年後は別の家に住んでいるかもしれないし、リビングにテントを張って、子どもの個室にしているかもしれない」(耕平さん)
住まいに対する柔軟な感覚が、今の自分たちにとっていちばんリラックスできる快適な環境を築いている。
専門家プロフィール
野島耕平
1977年生まれ。
2004年 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
同年 コクヨ株式会社入社、RDIセンター配属。
現在、コクヨファニチャー株式会社 スペースソリューション本部勤務。
- contact@nojik.net
- URL
- www.nojik.net
※この記事はLiVES Vol.74に掲載されたものを転載しています。
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