元カフェオーナーの経験を活かし、設計士の平良安高さんが考えたキッチンは、家族の笑顔を生み出す楽しいアイデアが満載。
text_ Yuki Kusano(micropress) photograph_ Chotaro Owan
minimum house
- 設計・施工
- e.co room
- 住人データ
-
安高さん(44歳)建築家、 智子さん(42歳)建築家、
長男(11歳)、次男(10歳)
沖縄県の北谷町にある建築設計事務所、
e.co roomの代表である平良安高さんの事務所兼自宅には、
一面が亜熱帯植物に覆われた半屋外のテラスがある。
ここは、家族がソファに座ってのんびり過ごすアウトドアリビングであり、
気の置けない友人たちとの飲み語いの場でもある。
隣接するキッチンから料理やドリンクを受け取ることも可能で、
家というよりは、おしゃれなカフェやバーのような空間だ。
私たちは夫婦ともに料理好き。
設計を考えるときにいちばん意識したのが、
キッチンを囲むように暮らす空間をつくることでした。
(安高さん)
リビング、バスルーム、クローゼット、テラス…、
家族が毎日利用する日常空間に囲まれるように、
家の中央にキッチンを配置したプランは、
1人でご飯の支度をしているときも、家族とつながっていたい。
という奥さまの智子さんの要望を汲んだもの。
シンク側に立つと、目の前にリビングがあり、
家族が鑑賞している同じテレビを見ながら、
洗いものなどの家事作業が進められる。
また、外に設置された半屋外のテラスとは、
大きく開放された窓でリンクしており、
料理の受け渡しやコミュニケーションにとても便利。
これは、以前カフェを経営していたというご夫妻ならではのアイデアで、
例えば業務用の大型冷蔵庫を採用したのもそのひとつ。
パワーが強力なため
食材が長持ちするというメリットのほかにも、
冷蔵庫の上を作業台として活用できる利点もあります。
工業製品ならではの飾らない無骨さも気に入っています。
(安高さん)
デザインへの意識は高く、コーヒーメーカーなどの家電用品や
シンクの水栓なども外国製をセレクト。
また、身体に合わせてシンクを設計するなど、使いやすさにも配慮した。
流しは高め、コンロは少し低めの方が作業しやすいので、
設計の段階で調整しました。
使いながら随時、改善していきたいと思っています。
次はシンクの下に収納棚をつくりたいですね。(智子さん)
2人のお子さんも男の子ながら、積極的に料理の手伝いをしている様子。
家族だけではなく、招いた友人たちもキッチンに入り、
バーテンダー気分でお酒をつくったりと楽しんでいる。
安高さんの狙い通り、キッチンが家族の交流の場となって、
みんなの笑顔を生み出している。
専門家プロフィール
1969年沖縄県生まれ。
高校卒業後、大阪の美術学院に進学し、建築設計に興味をもつ。
沖縄の建築専門学校を卒業後、設計事務所に8年間勤務。
2001年e.co room 設立。
e.co room
- 住所
- 沖縄県中頭郡北谷町字砂辺524・2
- TEL
- 098・989・6642
- FAX
- 098・989・6621
- eco@room.sc
- URL
- eco.room.sc
〈物件名〉minimum house〈所在地〉沖縄県中頭郡北谷町 〈居住者構成〉夫婦+ 子供2人〈用途地域〉第一種住居地域〈建物規模〉平屋建て〈主要構造〉鉄筋コンクリート造 〈敷地面積〉239.00㎡〈建築面積〉129.00㎡〈床面積〉129.00㎡〈建蔽率〉60.00%(許容53%)〈容積率〉200.00%(許容53%)〈設計・施工・構造設計〉e.co room〈設計期間〉6 ヶ月〈工事期間〉6 ヶ月〈竣工〉2012 年
※この記事はLiVES Vol.75に掲載されたものを転載しています。
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