建築家と家づくり 好きに暮らそう SuMiKa
記事作成・更新日: 2015年12月 4日

造作収納で居室の 居心地を高めた、 家族のための実験住宅

ステージのある家

シンプルで自然な雰囲気が心地よい建築家の自邸は、間取りやデザイン、収納にもバリエーションをもたせた「子育てが楽しくなる」家だった。

text_ Satoko Hatano photograph_ Kai Nakamura

キャンバスに追加する
写真を拡大する

リビングからキッズルームを見る。本棚の白木や左官壁に馴染むライトカラーの引き戸は、明るい表情を見せながら、LDK の落ち着いた雰囲気にも調和する。

ステージのある家(東京都港区)

 設計・施工 
 エキップ 
   我が家
  の収納
  3か条
 ・“とりあえず”の収納も確保。
 ・本棚は家族共用。
 ・子どもの収納はセミオープン。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

黒板壁は自由な落書きスペース。親子のコミュニケーションツールとしても役立つ。角度のついた壁には、セントラルヒーティングの吸気口が仕込まれている。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

ボルダリングのホールドや小さな床の段差で遊びをプラスしたキッズルーム。壁は「集中力を高める水色」に。リビングと床材を変えて、空間の切り替えを意識づけた。

建築家の伊達宏晶さんの自邸を訪ねた。
奥さまと2歳の息子さんとの3 人家族。築44年のマンションをリノベーションして暮らしている。都心では稀な、広さ96㎡の好物件。主寝室と水まわり以外は間仕切りのない、おおらかな間取りだ。
ワンルーム空間にLDKとキッズルームを配置。ホワイトオークの床や左官壁など、プレーンな表情の室内は落ち着いた雰囲気を漂わせる。
リビングに隣り合うキッズルームまで、なんだかシックに見えるのだ。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

ダイニングからキッチンを見る。オープンキッチンは、調理器具も収納扉で隠す。キッチンの右手には、既存のセントラルヒーティングの機械室とランドリーがある。

自身が手がける家族の家、「すくすくリノベーション」の実例とすべく、
まずは自邸に着手。子育て期から将来にわたり快適に暮らせる「子育てが楽しくなる」家を目指す。

キッズルームは間仕切りの設置で個室化できるなど、子どもの成長に合わせて間取り変更も可能。内装は経年変化が味わいになる天然木や土などの自然素材と、飽きのこないシンプルなデザインで構成されている。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

ホワイトオークの床とナラの天井が、ぬくもりを感じさせるリビング。

端正な室内には実験住宅としての試みが見られる。伊達さんが塗装壁を仕上げて施主施工の可能性を示したり、既存柱や梁型を造作家具と一体的に仕上げる工夫など。
また、収納計画にも提案が。共働きのご夫妻にとって、「片付けが楽」なことは必須条件。忙しい時は、書類や雑多な日用品をさっとしまえる場所があると便利なもの。リビングの北壁を占めるカウンター収納は、ワークスペースとベンチを兼ね、奥行きもあるため、「とりあえず」何でもしまえる多機能収納として重宝する。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

リビングのカウンター収納は、ダイニングテーブルのチェアにも活用できる。梁型を利用した間接照明は調光も調色も可能。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

無垢のステンレス天板を特注した、シャープなフォルムのキッチン。

おもちゃ類は、本棚と引き戸を組み合わせたキッズルームの造作収納へ。子どもが自分で片付けやすいよう、低い位置におもちゃ入れを設け、引き戸で適度に隠せるセミオープンなつくりとした。

各デザインも特徴的だ。リビングのカウンター収納は、床材と同じホワイトオーク仕上げ。隣り合うキッチンカウンターも同材で、LDKの一体感を高めている。
キッズルームの棚の引き戸にはライトカラーを採用。子どもも自分専用であることを意識し、片付ける習慣がつく。一方、本棚は家族共用だ。伊達さん曰く、「大人の本に触れることで、子どもの世界が広がれば」

キャンバスに追加する
写真を拡大する

キッズルームの棚の一部を、写真などを貼れるコルクボードにした。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

間仕切り壁を挿入する溝を、既存の梁型と一体的につくったキッズルーム。

住まいの整頓を助けるこれらの造作家具は、「収納のための収納」ではない。使い方や場所に合った設計がなされた、居心地のいい住空間を支える「建築の仕掛け」なのだ。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

愛用の3 人がけソファはeilersen。700 枚を超えるCD の収納は、既存の梁型に沿って造作。テレビボードはレンガタイルを張って暖炉調の表情を試した。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

主寝室の壁塗装は、リビングと同じポーターズペイント。ムラのある表情の石灰入り塗料で伊達さんが仕上げた。ベッドのヘッドボードは厚みをもたせて絵本棚に活用。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

キャンバスに追加する
写真を拡大する

間仕切り壁を兼ねる玄関収納。左手は、水まわりと主寝室につながる。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

洗面室と浴室の床材には、冷たさを感じにくいサーモタイルを使用した。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

水まわりと主寝室をつなぐ通路の脇にクローゼットがある。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

玄関ホールからリビングへ。左官で仕上げたアールの壁に沿って、自然とリビングに導かれる。この壁の裏側は、リビングに開いたキッズルームとなっている。

キャンバスに追加する
写真を拡大する

BEFORE

キャンバスに追加する
写真を拡大する

AFTER


〈物件名〉ステージのある家 〈所在地〉東京都港区 〈居住者構成〉夫婦+子ども1 人〈建物規模〉地上8 階建て(3 階部分)〈 主要構造〉鉄筋コンクリート造〈 建物竣工年〉1970 年(築44 年)〈 専有面積〉96.3㎡〈 バルコニー面積〉7.8㎡〈設計+施工〉エキップ〈 設計期間〉3ヶ月〈 工事期間〉3ヶ月〈 竣工〉2013 年〈 総工費〉1,800 万円


※この記事はLiVES Vol.75に掲載されたものを転載しています。
※LiVESは、オンライン書店にてご購入いただけます。
amazonで【LiVES】の購入を希望される方はコチラ

関連する家づくりカテゴリー

おすすめ

前の記事

昭和の意匠×コンクリート。 中古マンションを日本家屋化

次の記事

洋服を着替えるように部屋を着替えよう!タイルではじめる...