シンプルで自然な雰囲気が心地よい建築家の自邸は、間取りやデザイン、収納にもバリエーションをもたせた「子育てが楽しくなる」家だった。
text_ Satoko Hatano photograph_ Kai Nakamura
ステージのある家(東京都港区)
- 設計・施工
- エキップ
- 我が家
の収納
3か条 - ・“とりあえず”の収納も確保。
・本棚は家族共用。
・子どもの収納はセミオープン。
建築家の伊達宏晶さんの自邸を訪ねた。
奥さまと2歳の息子さんとの3 人家族。築44年のマンションをリノベーションして暮らしている。都心では稀な、広さ96㎡の好物件。主寝室と水まわり以外は間仕切りのない、おおらかな間取りだ。
ワンルーム空間にLDKとキッズルームを配置。ホワイトオークの床や左官壁など、プレーンな表情の室内は落ち着いた雰囲気を漂わせる。
リビングに隣り合うキッズルームまで、なんだかシックに見えるのだ。
自身が手がける家族の家、「すくすくリノベーション」の実例とすべく、
まずは自邸に着手。子育て期から将来にわたり快適に暮らせる「子育てが楽しくなる」家を目指す。
キッズルームは間仕切りの設置で個室化できるなど、子どもの成長に合わせて間取り変更も可能。内装は経年変化が味わいになる天然木や土などの自然素材と、飽きのこないシンプルなデザインで構成されている。
端正な室内には実験住宅としての試みが見られる。伊達さんが塗装壁を仕上げて施主施工の可能性を示したり、既存柱や梁型を造作家具と一体的に仕上げる工夫など。
また、収納計画にも提案が。共働きのご夫妻にとって、「片付けが楽」なことは必須条件。忙しい時は、書類や雑多な日用品をさっとしまえる場所があると便利なもの。リビングの北壁を占めるカウンター収納は、ワークスペースとベンチを兼ね、奥行きもあるため、「とりあえず」何でもしまえる多機能収納として重宝する。
おもちゃ類は、本棚と引き戸を組み合わせたキッズルームの造作収納へ。子どもが自分で片付けやすいよう、低い位置におもちゃ入れを設け、引き戸で適度に隠せるセミオープンなつくりとした。
各デザインも特徴的だ。リビングのカウンター収納は、床材と同じホワイトオーク仕上げ。隣り合うキッチンカウンターも同材で、LDKの一体感を高めている。
キッズルームの棚の引き戸にはライトカラーを採用。子どもも自分専用であることを意識し、片付ける習慣がつく。一方、本棚は家族共用だ。伊達さん曰く、「大人の本に触れることで、子どもの世界が広がれば」
住まいの整頓を助けるこれらの造作家具は、「収納のための収納」ではない。使い方や場所に合った設計がなされた、居心地のいい住空間を支える「建築の仕掛け」なのだ。
専門家プロフィール
エキップ代表取締役。一級建築士・宅地建物取引主任者・一級土木施工管理技士。1971年福井県生まれ。94年 金沢大学工学部土木建設工学科卒業。98年 ソニーファシリティマネジメント。2001年 アダージオプランニング一級建築士事務所設立参画。05年 ユニップデザイン一級建築士事務所参画。11年 エキップ一級建築士事務所設立。
エキップ
- 住所
- 東京都渋谷区恵比寿1・23・9
- TEL
- 03・6721・7442
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- 03・6721・7446
- info@ekip.co.jp
- URL
- ekip.co.jp
〈物件名〉ステージのある家 〈所在地〉東京都港区 〈居住者構成〉夫婦+子ども1 人〈建物規模〉地上8 階建て(3 階部分)〈 主要構造〉鉄筋コンクリート造〈 建物竣工年〉1970 年(築44 年)〈 専有面積〉96.3㎡〈 バルコニー面積〉7.8㎡〈設計+施工〉エキップ〈 設計期間〉3ヶ月〈 工事期間〉3ヶ月〈 竣工〉2013 年〈 総工費〉1,800 万円
※この記事はLiVES Vol.75に掲載されたものを転載しています。
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