住み慣れた住まいのつくりをデザインに活用。和の素材で整え、無理のないコストとプランで目的の暮らしに合わせた住まいを実現
photograph_ Takashi Daibo
堀江のリノベーション
(大阪府大阪市)
- 設計
- とのま一級建築士事務所
- 住人データ
- 鈴木昭二さん(39歳) 会社員
金子真理さん(27歳) 会社員
当時29歳だった2004年、鈴木昭二さんはこの家を購入した。大阪都心部でもお洒落スポットとして人気の堀江地区建つ、鉄骨造3階建ての一軒家だ。
いざというときに行き場に困らないよう、値崩れしにくい土地付きの一戸建てが欲しいと思っていました
と鈴木さん。中古物件を買ってすぐリノベーションするには、予算オーバーの物件。けれど、立地も広さもやっぱり魅力的だったので、購入に踏み切った。
その後しばらく、部屋の一室を賃貸に出すなどして費用を貯め、リノベーションを行ったのは昨年のこと。以前から知り合いだった、とのま一級建築士事務所の河田剛さんに設計を依頼し、待ちに待った〝家づくり〞がスタートした。
10年間も住んでいますから、こうしたいというプランは、だいたい固まっていました
と鈴木さん。まず、生活の中心の場であるLDKを1階から明るい3階へ移動。たくさんあった押し入れと間仕切りを潰してワンルームとし、内装も一新。天井の断熱材も入れ直した。2階は、間取りは変えず、仕上げのみ変更して寝室に。1階は玄関土間を広げ、和室を計画した。
「日本らしい家がいい」という鈴木さんの要望を受けて、内装の意匠や素材選びは河田さんが提案。LDKの壁は、土壁風の藁入り左官仕上げ。1階から3階まで一直線にのびる広い階段はモルタルで仕上げ、町家の通り庭のような空間になった。また、3階の階段室を囲む壁をガラス張りにしたのは、既存の窓から入る光をLDKや階段に広げるためのアイデア。
新しくつくり込むというよりは、素材で雰囲気を変え、既存の設えをより良く活かす設計を心がけました
と河田さん。長年使ってきた家具や鈴木さんがDIYでつくった新しい家具も加わり、出来上がった新しさと古さが重なり合う住まい。暮らしにもうれしい変化があった。
以前からホームパーティを開くことが好きだったという鈴木さん。1階にあった狭くて暗いLDKが会場だったころに比べて、人を招く喜びもひとしお。パーティ以外でも、休みの日は家でずっと大好きな料理の腕を磨いて過ごすようになった。好みやライフスタイルに合わせてアレンジした住み慣れた住まいで、ますます充実した日々を重ねている。
専門家プロフィール
2007年 とのま一級建築士事務所設立。12年「 町家と住宅」でグッドデザイン賞受賞。関西を中心に、物件探しから設計、施工監理、メンテナンスまで、施主の豊かな「ライフスタイル」が、いつまでも住まいの中心にあり続けるような建築・デザインを心掛けている。
とのま一級建築士事務所
- 住所
- 大阪府大阪市西区西本町1・13・9 ヒカリ21 901
- TEL/FAX
- 06・6538・6477
- info@tonoma.net
- URL
- www.tonoma.net
〈物件名〉堀江のリノベーション〈所在地〉大阪府大阪市〈居住者構成〉カップル〈建物規模〉地上3階建て〈主要構造〉鉄骨造〈築年数〉約30 年〈建築面積〉42.29 ㎡〈床面積〉1 階28.93㎡、2 階 42.29 ㎡、3 階 38.99㎡、合計 110.21㎡〈設計〉とのま一級建築士事務所〈施工〉クロスアート〈設計期間〉2 ヶ月〈工事期間〉2 ヶ月〈竣工〉2013 年〈総工費〉450 万円
※この記事はLiVES Vol.77に掲載されたものを転載しています。
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