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記事作成・更新日: 2016年 6月17日

コンテナハウスって何?~世界を旅したあなただけの家に住むために知っておきたいこと~

コンテナ ハウス に 住む

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世界中を旅したコンテナは、人の住む家に変わる

みなさんも港に積まれたコンテナや、列車や車に牽かれて移動するコンテナを見たことがあると思います。無骨で頑丈そうなシルエットや、カラフルに塗り分けられたボディは印象的で、一度見たら忘れることができません。

コンテナ達はどこか遠くの国で生まれ、荷物を抱えて旅に出て、中には地球を何週分も移動してきたものもあるでしょう。それらのコンテナ達は、役目を終えた後にどうなるのでしょうか?

多くは廃棄されたりリサイクルされますが、一部のコンテナは「住居」として新たな役目を与えられています。それがコンテナハウスです。

photo by Frans Berkelaar

近年、目にする機会が増えてきたコンテナハウスは、貨物用のコンテナを再利用した住居です。住居やガレージとしての利用だけでなく、店舗やオフィスとして、さらに海外では公共施設として使われているものもあり、スクエアでシンプルなフォルムが特徴です。

コンテナハウスの魅力

コンテナハウスの魅力は、建築費用の安さにあります。

建築費用を安く押さえられる理由は、コンテナハウスの材料になるコンテナが低価格で手に入るため。コンテナの中でも小さめの20フィートのコンテナならば、中古品が30万円前後で手に入ってしまいます。

20フィートコンテナは、内寸が長さ約6m、幅が約2.3m、高さが約2.1mで、ワンルームマンションより少し狭いくらいの大きさです。大都市圏の家賃の相場を考えてみると、これが30万円で手に入るならば、安い買い物ではないでしょうか。

また、コンテナハウスは自分好みに改造できる点も魅力的です。
構造がシンプルなので、ふたつのコンテナを縦に積み、階段を設ければ2階建ての家としても使えますし、横に並べて壁を取り払えば床面積を拡張することができます。

photo by Angel Schatz

さらに、移動が可能なこともユニークな特徴です。

コンテナはもともと貨物の輸送を目的として作られていますから、簡単に移動ができるようつくられています。そのため、家具を積んだまま離れた場所に移動することもできるのです。

価格が安い、拡張性が高い、移動が可能と、今までの家にはない特徴を活かし、コンテナハウスは災害時の仮設住宅として利用されたり、海外ではオフィスの構造材としても利用されています。

ここまで聞くと、「コンテナハウスのことをもっと知りたい」と思われた人も多いと思います。
次は、実際に住む場合にいくらかかるのか?住み心地はどうなのか?など、より詳しい情報をお伝えします。

実際に住むために ~建築費用と住み心地~

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先ほど、20フィートのコンテナは30万円前後で手に入るとご紹介しましたが、これはコンテナ単体の価格です。家として利用する場合はコンテナを置く土地が必要ですし、基礎工事やライフラインを敷くための工事費、コンテナの輸送費、そしてコンテナの改装費が必要になります。

なぜ改装費が必要になるでしょうか?

貨物を運ぶ箱として頑丈に作られているコンテナは、機密性が高く、表面が鉄でできているため夏は暑く、冬は寒い空間になってしまいます。つまり、そのまま使うのは現実的ではありません。

また、もともと住居用としてつくられているものではないので、災害時のことを考えると補強が必要な場合があります。住居として使う場合には、人が快適に過ごすために、窓を開けたり、空調設備の取り付けが必要です。この加工を行うためには鉄の外壁に穴を開けなければいけませんが、加工には専用の道具が必要で、素人にはまず手の負えない品でしょう。

そのため、日本で住居として使われているコンテナハウスは、専門の業者がコンテナを改造したものがほとんどです。

例えば、静岡県御殿場市に本社を置くユニットハウス・プレハブハウスを製造・販売する「キューブスタイル」では、20フィートサイズのコンテナハウスを販売しています。その価格は消費税や輸送費を別にして126万円。この商品は、換気扇が付き、簡易なオフィスやショールームとして使えるタイプですが、同社ではより大きな、ワンルームタイプのスモールハウスも販売しています。

もし、20フィートのコンテナハウスを購入するならば、工事費・輸送費・改造費など諸々の費用を合わせて、土地代を除いて200〜300万円ほどの費用が必要になってくるでしょう。
これに加え、コンテナハウスには固定資産税がかかります。

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次に、住み心地はどうでしょうか?

私は、コンテナハウスの中にレストランがある、代々木ビレッジをはじめ、いくつかのコンテナハウスにお邪魔したことがありますが、改造を施したコンテナハウスの中は、「少し天井が低いかな」と感じるぐらいで、一般的な家と居心地は変わりませんでした。

この他に、都内には虎ノ門の「Good Morning Cafe&Grill 」や、江古田にあるベトナム料理屋さん「エコダヘム/Ecoda Hem」など、コンテナハウスの飲食店がいくつかあります。まずはここで居心地を試してみてもいいかもしれません。

きっと、普通の家と変わらないと感じる方が多いと思います。

コンテナハウスはどこで買えるの? ~用途別の購入方法~

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ということで、コンテナハウスの魅力や費用などをお伝えしてきましたが、購入したくなった場合はどのような買い方があるのでしょうか?おすすめしたい購入方法をふたつご紹介します。

・ガレージや倉庫として使う場合:中古コンテナを購入し、自分で内部を改造する。

・オフィスや住居、店舗として使う場合:専門業者が製造・販売しているコンテナハウスを購入する。

ガレージや倉庫として使われる場合は、長時間滞在するわけではないので、空調設備の取り付けなどの改装は必要ないと思います。たいていのコンテナは内部が木製になっているので、自身で壁を塗り替えたり、棚をDIYすることも可能です。中古コンテナを購入する場合、業者から購入するほか、オークションサイトや楽天市場に出回っている中古コンテナを購入することができます。

ただし、中古コンテナは長年屋外で使われてきたため、サビが出ていたり、傷が付いている場合がほとんどです。そのため、実際に状態を見てから購入するのがベターです。

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一方、オフィスや住居、店舗として使う場合は専門業者から購入するのがおすすめです。
先ほどもお伝えしたように、人が過ごせる状態で販売されているコンテナハウスがありますので、そちらを購入する方が手間がかかりません。

業者から購入する場合は、ウェブサイトや電話で問い合わせを行い、見積もりを出してもらうのが一般的です。業者によってはモデルルームを用意していることもあるので、一度足を運んで居心地も確かめてみましょう。
また、中古のコンテナハウスが販売されていることもあるので、そちらを購入しても良いかもしれません。

世界中を移動してきたコンテナには、長年風雨にさらされてきた独特の風合いがあります。それはそのコンテナだけが持つ歴史と言えるかもしれません。

世界にひとつしかないコンテナを使った、自分だけの家。あなたなら、そこでどんな時間を過ごしますか?

Text 鈴木雅矩

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