ドイツの家いうと、どんなイメージでしょうか。三角屋根の家など、グリム童話が生まれた国らしい、おとぎ話に出てきそうな愛らしい家がたくさんあります。今回は、そんなメルヘンの国、ドイツのおうちをご紹介します。
じつはドイツも、木造住宅が伝統
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ドイツらしい家の代表格といえば、ハーフ・ティンバー様式です。
ハーフ・ティンバーとは、柱や梁などの家の骨組みをむき出しにし、その間にレンガや土、石などを充填して壁をつくる建築様式のこと。木の骨組みが、そのまま外観のデザインになっているのが特徴です。
旧市街地に多くみられますが、ドイツ中部、ハルツ地方のクエドリンブルクなどが有名です。
メルヘンな45度の三角屋根
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雪が多いドイツでは、急勾配の三角屋根が多いのも特徴。例外もありますが、多くの屋根は傾斜45度で設計されています。
三角屋根の家が並ぶ様は、まさにメルヘンの世界。ちなみにメルヘンという言葉は、ドイツ語のMärchen(メルヒェン:おとぎ話)からきているそうですよ。
橋の上に建ち並ぶ、“文化遺産”の家
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ドイツ中央部に位置するチューリンゲン州の首都、エアフルト。古くから東西交易の要として栄えてきたといわれるこの街を象徴するのが、11世紀に建てられたという“クレーマー橋”です。
橋の上には30軒ほどの可愛らしい家が軒を連ねており、1階が店舗、2階が住居になっています。この“家つきの橋”は、イタリア、フィレンツェのポンテ・ベッキオ橋と並び称される文化遺産だそうです。
一軒家に見える最小規模の集合住宅
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一見、ひとつの家にみえますが、実は2つの家。日本の二世帯住宅とは違い、1棟を左右で分けて別々の家族が暮らしています。最小規模の集合住宅ともいえますね。
一軒家を購入するよりも価格を抑えながら、一軒家に住んでいる気分が味わえるのがメリットだといわれています。
このような家は「ドッペルハウス(Doppel=ダブル、Hause=家)」と呼ばれています。
写真上は、お隣さんと外壁の色を相談して、黄色で統一したそう。庭もよく見ると植木などで上手に仕切られています。家の裏にも大きな庭が広がっていて、まさに1軒家の気分です。
愛らしい木製サッシや雨戸が印象的
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ドイツの家は、窓枠がとってもキュート。木製のサッシやポップな雨戸が、家の雰囲気をぐっと愛らしくしています。
白い窓枠×オレンジの外壁、赤い雨戸×黄色いの外壁…などなど。さらに窓枠の周りを縁取るトリムがアクセントとなって、家のデザインをキュッと引き締めています。
窓辺にはいつも花
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ドイツ人は窓辺を飾るのがとても上手。こんなふうに窓辺に鉢植えを並べるだけで、家の印象がぐっと華やかになりますね。
花以外にも、クリスマスやイースターなど、季節によっても飾りを変えて、歩く人の目を楽しませてくれます。
色とりどりの花に囲まれた家
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ガーデニングは日本でも人気ですが、ドイツ人も大好き。特にこの季節は庭が彩豊かになる季節。色とりどりの花が咲き乱れ、庭や外壁を美しく彩ります。
玄関やガレージの上を利用してテラスに
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ドイツでは「天気のいい日は屋外でお茶や食事」が定番。庭やテラスはなくてはならない存在です。ドイツでよく見かけるテラスが、玄関やガレージの上を利用したタイプ。十分なスペースがあるので、テーブルや椅子を置くことができます。
鶏小屋をパーティルームに
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こちらは家ではなく、もともとは鶏小屋です。今は養鶏していないため、パーティルームに改造したとのこと。室内は大きなテーブルや冷蔵庫もあり、30〜40人ほどは収容できます。
ドイツでは自分の誕生日は友達を招待してパーティを開く習慣があり、特に30歳、40歳といった節目の誕生日は盛大にお祝いするため、パーティ専用の部屋があると、とっても便利なんです。
これらの家はほんの一部ですが、窓枠や三角屋根など、愛らしい雰囲気は家づくりの参考になりそうですね。また、窓辺に花を飾り、外観を愛らしく演出する技も取り入れてみてはいかがでしょうか。
Text&Photo 矢島容代
フリーランスライター。日本では「ELLE a table」「ミセス」などの雑誌で記事を執筆。その後、フランス、タイでの生活を経て、2013年からドイツに移住。現在は旧東ドイツの小さな村で夫と猫と暮らしながら、ときどきドイツの食や暮らしについて執筆。