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記事作成・更新日: 2016年 7月 6日

設計段階から参加し、 住みながら手を加える。
自分らしく住まう賃貸

仕立てる賃貸 Atype

木の天板とブロックを積み上げたキッチン。アメリカから個人輸入したスイッチプレート。賃貸でとことん遊ぶ、思い通りの空間づくり。

text_ Yasuko Murata photograph_ Osamu Kurihara

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スタジオのように使えるワンルーム。壁の一面を黒板塗料でペイント。「チョークでグラフィティを描いて、自分のセンスをプラスしてきたい」と御園さん。

仕立てる賃貸 Atype

(東京都世田谷区)

設計
エトラデザイン
住人データ
御園さん(30歳) デザイナー
素材、家具、収納、パーツなどにこだわり、賃貸カスタマイズを実現した御園さん。最近は釣りやキャンプにはまっており、郊外まで出かけることが多い。

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アメリカの「Amazon」でソケットと電球をそれぞれ購入。

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キッチンの下はオープン。「トラスコ」のワゴンのトレーに、調味料などを整理。

リノベ済みやデザイナーズなど、デザインされた賃貸を探していましたが、床は無垢材でもキッチンや洗面は既製品で、物足りない物件ばかり。設計段階から関わることができる、この物件の仕組みには、大きな魅力を感じました

そう話すのは、40㎡強のワンルームにリノベーションされた「仕立てる賃貸」に住む御園裕之さん。
「仕立てる賃貸」は工事前のスケルトンの段階で入居者を募集し、借り主の希望を取り入れながら、設計を進める新しい賃貸住宅。元は集合住宅のオーナー住戸だった150㎡ほどの物件を競争力のある賃貸にしたいという依頼を受け、エトラデザインの川上堅次さんが発案。40〜65㎡の3部屋に切り分け、NENGOとともに企画を進めた。
借り主は、川上さんが設計した複数の基本プランから、ベースとなるプランを選び、間取りのアレンジ、設備や仕上げの変更をオーダーし、カスタマイズする。設定されている予算の範囲で収まれば、借り主に負担金は発生しない。予算オーバーの場合は、実費を負担してグレードアップすることもできるし、他の部分とトレードオフもできる。

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鉄とナラの集成材で自作した本棚。鉄の溶接は経験をもつお父さまの力を借りた。

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ハンガーラックなどはアパレルショップのインテリアを参考に、似たものを探した。

御園さんはSOHOとしてスタジオのように広く使えるプランを選び、システムキッチンから造作に変更。壁に棚を設け、タイルを張る代わりに浴室の床のタイルを省略し、モルタルのままにして予算を調整した。スイッチ、コンセント、照明などは、アメリカのサイトで好みのものを購入し、施主支給した。

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広めの玄関土間。洗面は通路に設置。「EXIT」のパーツもアメリカのサイトで調達。

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黒板塗装した壁には、黒のコンセントプレートを合わせた。

希望のほとんどを聞き入れてもらい、予想以上に思い通りの部屋にすることができました

と話す御園さんは、ベースはシンプルにつくり、入居後もDIYでカスタマイズを続けることを希望。実際、壁の一面を黒板塗料で塗装し、土間には自転車を吊り下げるワイヤーを取り付けるなどして、手を加えている。鉄とナラ材で自作した大きなテーブルを、仕事や食事などオールマイティに使い、棚にはコンテナを組み合わせて衣類を収納。賃貸という枠にとらわれない、自分らしい住まいづくりを謳歌している。

私も長く賃貸に住んで不憫を感じてきたので、賃貸を楽しい空間にしたいという思いが昔からありました。賃貸の住まい方を広げる一つの提案として、今後も『仕立てる賃貸』を展開していく予定です(川上さん)

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DIY でつくった大きなテーブルを仕事、食事にと多目的に使用。SOHO に必要な機能をコンパクトにまとめた。正面のコンクリートブロックは新設した戸境壁。

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壁にタイルを張ることにこだわったというキッチン。収納は棚を取り付けてオープンに。キッチンツールや食材を入れる容器も、見せる収納を前提に揃えている。

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洋服を収納している棚。天板には、帽子やサングラスなどの小物を飾るようにストック。

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壁はコンクリート、床はモルタルのまま完成とした浴室。今後タイルを張ることも可能。

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洋服は「トラスコ」のコンテナに分類。ステンシルで中身を表示して一目瞭然に整頓。

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土間に吊り下げた自転車。ワイヤーとフックは、ホームセンターでパーツを購入して自作。

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Before

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After


〈物件名〉仕立てる賃貸 Atype〈所在地〉東京都世田谷区〈居住者構成〉大人1人〈建物規模〉地上4 階建て(3 階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1997 年〈専有面積〉40.72 ㎡〈バルコニー面積〉11.12㎡〈設計〉エトラデザイン〈施工〉中町工務店〈企画・プロデュース〉NENGO〈設計期間〉3 ヶ月〈工事期間〉3 ヶ月〈竣工〉2013 年


※この記事はLiVES Vol.78に掲載されたものを転載しています。

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