棟続きの2 軒を借りて、大人数が集まる広いダイニングとオープンなキッチンを実現。2階には箱型のアトリエで仕切るリビングも。
text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue
猫洞通のリノベーション+マチマチ
(愛知県名古屋市)
- 設計
- AIRHOUSE DESIGN OFFICE
- 住人データ
- 健太さん(34歳)美術教師、有衣子さん(30歳)ショップ経営
築40年の店舗付き住居。その隣の棟続きの住宅。この2つの物件を賃貸し、リノベーションしたのは、田口健太さんと有衣子さんご夫妻だ。店舗部分は有衣子さんが営むショップとなっている。
最初は店舗付きのほうだけ借りて、軽くリフォームする程度に考えていました。でも、それだとコンパクトすぎて、いろいろ我慢しなければならない。以前から友人を家に呼んでもてなすことが好きだったので、思い切って2軒借りて、大々的にリノベーションをして、広く住もうと考えました(健太さん)
物件は名古屋でも話題のショップが集まる人気エリアにある。田口さんご夫妻は、散歩中に空き家だったこの物件と出会い、オーナーを探して、段階的に粘り強く交渉。2軒分を賃貸し、フルリノベーションすることの許可を得た。
いつかは家を持ちたいと考えていたので、リノベに予算をかけるべきか悩みました。でも、店舗兼住居は夢だったし、今の生活も大切にしたいと考えたのです(有衣子さん)
設計はAIRHOUSE DESIGN OFFICE の桐山啓一さん。東西の窓から光を入れ、1階まで届ける吹き抜けをつくり、床面積を減らすことで、天地の広がりと抜けがある開放的なプランを導いた。
木造住宅は、スケルトンにすると910㎜ピッチで柱が出てきます。広く見えるように、縦方向のつながりを出したいと考え、できるだけ柱が上下に貫いて見えるように空間をつくりました(桐山さん)
住居と店舗の入口は別で、1階は店舗以外をまるごとダイニングとした。大勢の友人を迎える場所として、毎週のように賑わっているという。キッチンは、ゲストも含めた大人数で囲めるアイランド型。傍らには、既存の柱が棚板を貫くようにデザインされた、オープンな食器棚もある。2階は箱型の個室で、リビングを切り分けるスタイル。作家活動も行う健太さんのアトリエ、クローゼットなどが箱の中に収まる。箱の高さは低めに抑え、その上のロフトを寝室としている。また、浴室と洗面室も同様の箱に収まっている。
賃貸でなければ、このエリアで店舗兼住居は不可能でした。しかも理想的な住居が叶った。その時々の目標に合わせ、家を変えられる賃貸の豊かさを感じています(健太さん)
専門家プロフィール
1978年 岐阜県生まれ。名城大学理工学部建築学科卒業。向井建築事務所勤務後、suppose design office を経て、2009 年 AIRHOUSE DESIGN OFFICE設立。第一回全国リフォームコンテスト(ザメディアジョン)最優秀賞、平成26年度わが家のリフォームコンクール名古屋市長賞、第3回家づくり大賞大賞、中部建築賞、その他多数。
AIRHOUSE DESIGN OFFICE
- 住所
- 岐阜県大垣市神田町1・6・302
- TEL
- 0584・71・9977
- FAX
- 0584・71・9988
- info@airhouse.jp
- URL
- www.airhouse.jp
〈物件名〉猫洞通のリノベーション+マチマチ〈所在地〉愛知県名古屋市〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上2 階建て〈主要構造〉木造〈建物竣工年〉1974 年〈建築面積〉98.00㎡〈床面積〉住居部分1階 40.99㎡、2階 106.21㎡、店舗部分46.59㎡、合計 152.80㎡〈設計〉桐山啓一/ AIRHOUSE DESIGN OFFICE〈施工〉三戸建設〈設計期間〉4 ヶ月〈工事期間〉3 ヶ月〈竣工〉2014 年〈総工費〉1,000 万円
※この記事はLiVES Vol.79に掲載されたものを転載しています。
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