建築家と家づくり 好きに暮らそう SuMiKa
建築家の棲み家
2015年 3月12日

多様なライフスタイルを余すところなく内包。わたしの住処のつくりかた

[建築家の棲み家 Vol.07田邉 恵一]


「好きに暮らすってどういうこと?」。建築家は家の設計を通して、この問いかけの解を住み手と一緒に探します。
そんな建築家自身の住まいにおける「好きな暮らし」を覗いてみましょう。
建築家自らが「好きに暮らそう」を体現した「自邸のお気に入り」を紹介する本企画「建築家の棲み家」。第4回は田邉 恵一さんです。


はじめまして。田辺計画工房の田邉 恵一です。

20年前、自宅を作る時、南北に長い旗竿敷地の厳しい環境条件の中で、私たち夫婦のライフスタイルをどのように具体化するかに想いを巡らせ、楽しみながらプランをしたことを思い出します。

それまで私は博物館や図書館、水族館など公共施設を主に手掛けており、「住まい」の設計経験は少なかったのですが、公共施設の計画プロセスを通して多くの人々が楽しめる空間を作っていた経験と「住まい」づくりも同じととらえ、「形」づくりでではなく「場」をつくることがその方法と考えました。そのため、躊躇なく自宅づくりに取り組むことができました。

私たちのライフスタイルから住まいに必要な「場」を考えると、ガレージは不可欠、またいつもクルマと近い関係で暮らしたいと考え、明るく居室の一部となるようなガレージを望みました。また、コレクションのプラモデルやミニカーなども見ていたいと欲張りました。そして、早朝仕事に集中するタイプの私は、朝日を感じる仕事スペースを作ろうと考えました(もちろんクルマやコレクションを愛でることができる)。

家内は「野菜づくり」が夢で、なんとか家庭菜園を楽しみたいと考え、植物が育むリビングを望み、また、庭が取れない敷地でもテラスライフも楽しむことで、豊かな空間を作りたいと模索しました。街中でも空を感じたい。敷地にあるケヤキと桜を愛でていたい。四季を感じたい。雨も楽しもう・・・と。

当時は4頭の犬との同居も条件。他にも浴室は坪庭と繋がる空間を望み、料理好きな二人にとってキッチンも大切。このような多くの希望を具現化したのが我が家です。 

できあがった「住まい」は、念願のガレージを持ち、多くの愛犬と共に暮らせ、庭を作れない「都市型住宅」ながらテラスや屋上に家庭菜園も設け、植物が大好きな我々、そして犬たちにとって豊かで楽しい「住まい」となり、今でも飽きることはありません。

日本の住まいづくりの多くは、家族構成から「個室数」と「LDK」が決められ、簡単なパズルのようにプランされますが、本来「好きに暮らすための住まいづくり」は、クライアントが「好きに暮すライフスタイル」も持つことから始まります。

夢を具現化する設計は楽しいプロセスとなりますので、これから住まいを建てられる方は、ぜひご自身の「好きに暮すライフスタイル」を建築家に託してください。

そこから素敵な住まいづくりは始まります。

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2階を大地と見立て、テラスと居室を一体としたプラン。赤いフードを持つキッチンもテラスと一体となるような場所に計画しました。屋上は、家庭菜園。大きな屋根はそのまま内部空間を包んでいます。

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屋根に包まれた、我が家のスペース。テラスにも広がりを感じる事ができるプランとディテールです。ハイサイドからは空と月夜も楽しめます。高さに変化も持たせた屋根は、巾4.2m奥行き18m。

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ロフトの仕事場からの眺め。天井高さは高いところで4.5m、テラスまでのばした天井は、低いところで1.9mとなり、空間にリズムをつくっています。

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エントランスと階段空間。右側がガレージで、一体的に計画しています。

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ガレージから見た階段とエントランス。仕事場のロフトが半層高くなり、ガレージも高くなり、より一体感がでる工夫をしています。

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2階のリビングから見下ろした夜の階段室。ガラスにクルマが移り込み、いつでもクルマの存在を感じることができる、イリュージュン。

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私のお気に入りのロフトの書斎。左の窓から朝日が入り、ハイサイドからは屋上の菜園まで望めます。


Text&photo田邉 恵一/田辺計画工房

プロフィール

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田邉 恵一

田辺計画工房


主な作品

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横須賀の週末住宅

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Vol.08は角倉剛/(有)角倉剛建築設計事務所です。

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