建築家と家づくり 好きに暮らそう SuMiKa
2016年 2月26日

賃貸で暮らす、
昭和初期の風情を細部に宿す日本家屋

1930の家

昭和5年に建てられた木造平屋の一戸建てを、
古いものを活かしながら現代に合わせて再編集。都会で楽しむ自然に包まれる日々。

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庭に面した広いLDK。キッチンからは、庭を眺めながら料理ができる。床には無垢のクルミフローリングを使用。ダイニングテーブルは、泉さんのお父さま作。

1930の家

(東京都世田谷区)

設計
SPEAC,Inc.
住人データ
章嘉さん(40歳)デザイナー、泉さん(34歳)会社員、
長女(4歳)、長男(0歳)

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レトロな下見板貼りの外壁や瓦屋根は既存のまま。

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玄関の反対側には広い庭があり、ウッドデッキを新調。LDK からフラットにつなげることで、内と外を融合。庭には柚や梅などの木があり、季節ごとに実がなる。

「東京R不動産」の新着物件として紹介された直後から、問い合わせが殺到したという、築84年、木造平屋の賃貸住宅。飯島章嘉さんと泉さんご夫妻は、ネットの写真を見て、ひと目で気に入り、すぐに申し込みを決めた。

事務所兼住居として、仕事と生活が自然につながる家を探していました。広い庭とウッドデッキがあり、当時3歳だった娘に良い環境だったことも決め手です(章嘉さん)

ほぼ竣工当時のままの姿を留めていた既存物件はオーナーの依頼により「東京R不動産」を運営するスピークが設計。現代の生活に馴染む形で貸家として再生することになった。

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リビングの窓はフィックスにして、木の建具の桟に棚を取り付けている。

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状態の良かった既存の土壁は、ところどころアクセントとして残している。

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LDK の床の間は、既存の半分の深さに変更。絵を飾り、ギャラリースペースとして楽しんでいる。2枚の絵は、泉さんのお父さまが土壁を使って制作した作品。

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玄関床はモルタルで仕上げ直した。下足棚の扉も既存を流用。

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古い建具には、泉さんの実家で使っていた年代もののカーテンを合わせた。

小さな森のような庭の魅力を家の中に取り込むため、真ん中にあった和室の壁を取り払いました。キッチンは庭が見える位置に移動。カウンターを対面式にして、庭を見ながら料理ができるようにしています

と話すのは設計を担当したスピークの宮部浩幸さん。和室と庭側にあった洋室、縁側をL字につなげて大きくLDKを設け、どこにいても庭が目に入る開放的な空間とした。

水まわりは新設し、ほとんどの壁や床を仕上げ直しています。しかし、古い建具や天井を抜いた小屋組みの梁、柱、状態の良い一部の土壁など、味わいのあるディテールはできるだけ残しました(宮部さん)

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玄関脇の洋室を事務所として利用。床は新設のパーケットフローリング。

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和室の壁を取り払って広々としたLDK をつくり、現代の暮らしに合わせた。

LDKの欄間は土壁の土のみを落とし、小舞と呼ばれる竹を格子状に組んだ下地を流用。通風と採光、和の意匠のアクセントとして活かしている。また、この家を建てた現オーナーの先代が使っていた書斎には、パーケットフローリングを組み合わせ、レトロな洋館のようなイメージを踏襲。玄関から直接出入りできるこの部屋を、章嘉さんの事務所として使用している。

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L字のLDK。正面奥が事務所。右奥がキッチン。手前右の襖のむこうには寝室があり、襖を開けて使うこともできる。欄間は日本的なディテールとして小舞を残した。

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リビングの一角は子どもたちのためのスペースとして、おもちゃや絵本などを並べている。壁を取り払った空間は、通風や採光などの居住性にもすぐれている。

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築84 年の物件でずっと使われてきた木の建具、梁や柱など、存在感のあるディテールが活きる空間。古い窓ガラスが切り取る庭の景色は、風情に満ちている。

風通しがいいから夏は涼しく、冬は陽射しが奥まで入る平屋の過ごしやすさを感じています。庭で採れた梅や柚でシロップをつくったり、紅葉を眺めたり、東京の真ん中で、そうして四季を感じて暮らせるのは贅沢だと思います(泉さん)

外国人の友人が多いという飯島さんご夫妻。この家に国内外の友人を招いた交流イベント「LIFE:WORK」を定期的に開催している。

遊びに来る外国人の友だちは必ず喜んでくれるし、人を集める魅力がある家だと思うので、それを活かしていけたらと思っています(泉さん)

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襖で仕切ってオープンにも個室にもできる寝室。現在は家族4人で就寝。

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玄関のアプローチは、既存のコンクリート板を並べ替えてアレンジ。

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BEFORE

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AFTER


〈物件名〉1930の家〈所在地〉東京都世田谷区〈居住者構成〉夫婦+子供2人〈建物規模〉平屋建て〈主要構造〉木造〈建物竣工年〉1930年〈建築面積〉76.98㎡〈床面積〉75.35㎡〈設計〉SPEAC,Inc.〈設計期間〉5ヶ月〈工事期間〉3ヶ月〈竣工〉2012年


※この記事はLiVES Vol.76に掲載されたものを転載しています。

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