私たち日本人が“家”を想像するとき、頭に浮かぶのは石づくりの家でも、煉瓦づくりの家でもありません。ほとんどの人が想像するのは、木の家ではないでしょうか。
家に使われる材料として、身近な木材。実は、木材には「集成材」と「無垢材」という2つの種類があることをご存知でしたか?
同じ木材でも、その特徴は大きく異なります。今回は、家を建てるときに知っておきたい、集成材と無垢材の違いについてご説明します。
そもそも「集成材」と「無垢材」ってどんなもの?
そもそも、集成材と無垢材とはそれぞれどのようなものなのでしょうか?
「集成材」とは、小さく切り分けた木材を乾燥させ、接着剤で組み合わせた「人工」の木材です。強度や品質が安定しているので、扱いやすく、多くの工務店や住宅メーカーから選ばれている木材です。
「無垢材」は、伐採した木を乾燥させて作った「天然」の木材です。こちらも建材として、家の様々な箇所に使われますが、主にフローリング材や柱など、目に見える部分に使われることが多い木材です。
特徴は一長一短。集成材と無垢材のメリット・デメリット
家を建てる時には、集成材がいいのか、無垢材がいいのか迷う人もいると思いますが、実際のところは一長一短です。それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのかを見ていきましょう。
【集成材のメリット・デメリット】
●メリット
・品質が安定しているため扱いやすい
木材は根元から木の先まで、使う部位によって強度やしなやかさが異なります。集成材は性質の異なる部位を切り分けて接着しているため、品質や強度にばらつきがなく、扱いやすい木材だと言えます。
・無垢材に比べて割れや反りが出にくい
木材には水分が含まれていて、長年使うと乾燥して、反りや割れが発生します。集成材の材料になる小さな木材はよく乾燥されているので、反りや割れが少ない木材です。
木材に反りが出ると、反りに合わせて床や壁が微妙に動き、床に隙間ができたり、壁にひびが入ったりすることがありますが、集成材は木材の形が変わりづらいので、隙間やひびが出づらいのです。
●デメリット・集成材は無垢材に比べて耐用年数が短い?
しばしば「集成材の寿命は使われている接着剤の寿命」と言われることがあります。接着剤は人工物なので、自然物の木材に比べて劣化が早いため、集成材は無垢材に比べて耐用年数が短いと言われています。
・集成材は体に悪い?
集成材に使われている接着剤の中には、シックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドを出すものがあります。ただし、安全基準が設けられているため、そこまで神経質になる必要はありませんし、近年はホルムアルデヒドを出さない接着剤も開発されていますので一概に体に悪いとは言い切れません。
【無垢材のメリット・デメリット】
●メリット
・美しい木目と経年変化が楽しめる
無垢材の魅力は、美しい木目です。木によってひとつひとつ違う木目は室内にぬくもりを生み出してくれます。また、無垢材は長年使うことで、深い飴色になり木目も美しくなっていきます。これは集成材にはない魅力です。
・調湿性と断熱性が高い
無垢材は湿気の多い日は水分を吸収し、乾燥している日は水分を放出して湿度を一定に保とうとするため、室内の湿気を一定に保ってくれます。また、コンクリートの2倍と言われる断熱効果があるため、夏は涼しく、冬は暖かい部屋をつくることができます。
・扱いに技術が必要
集成材のメリットでも紹介しましたが、無垢材はそれぞれ異なる性質を持つため、扱いが難しい木材です。原料となる木が育った年数や環境、乾燥の度合い、木の種類などその違いは千差万別。この木の性質を理解し、適切に扱える大工さんは現代では数少なくなっています。
・床や壁にひびや割れが出やすい
こちらも集成材のメリットで紹介しましたが、無垢材は集成材に比べて反りや割れが出やすい木材です。そのため、長年使うと、木材や壁にひびが生じたり、床に隙間ができやすくなります。
現在数多くの住宅メーカーや工務店が木材として集成材を使うことが多いのは、変形しやすい無垢材がクレームにつながるからです。木材が変形しても、家の強度には問題がないことも多く、必ずしもデメリットになるとは言い切れません。
このように、集成材と無垢材のどちらが優れているかは、一長一短。どちらがいいとは言い切れないところがあります。
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木材で変わる家の価格。集成材と無垢材はどちらが安い?
「家は一生の買い物」と言われるくらいですから、家を建てる時に、その価格はとても気になるものです。高温多湿の日本では、今でも家を構成する建材のほとんどは木材の場合も多く、使われる木材で家の価格も大きく変わってしまいます。
気になる集成材と無垢材の価格ですが、一般的には集成材の方が安いと言われています。一本の木から取れる木材の量が限られている無垢材に比べて、集成材は小さな木材を切り出せるので、その分多くの木材をつくることができ、価格が抑えられるのです。
無垢材の中には集成材より価格が安いものもありますが、十分に乾燥処理を施していないため反りや割れが出やすい、強度に難点がある若木を使っているなど、安いなりの理由があるようです。
家は長年住むものですから、すぐにダメになってしまっては困ります。価格だけで選ばずに、長年の使用に耐えうるものなのか吟味が必要です。
この記事では集成材と無垢材の特徴をご紹介しましたが、「餅は餅屋」と言うように、木の特徴や性質は、普段から木材を扱っているプロが一番よく知っているはず。
家を建てる時には工務店や住宅メーカーとよく相談して、集成材と無垢材のそれぞれの性質や価格を理解した上で家を建てれば、より満足できる家づくりができるでしょう。
この記事を参考に、ご自身の予算と目的にあった素敵な家を手に入れてくださいね!
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Text 鈴木雅矩
ライタープロフィール
ライター・暮らしの編集者。1986年静岡県浜松市生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、自転車日本一周やユーラシア大陸横断旅行に出かける。帰国後はライター・編集者として活動中。日本の暮らし方を再編集するウェブメディア「未来住まい方会議by YADOKARI」の元・副編集長。著書に「京都の小商い〜就職しない生き方ガイド〜(三栄書房)」。おいしい料理とビールをこよなく愛しています。