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いまさら聞けない!家と暮らしのキーワード
記事作成・更新日: 2017年11月25日

よく聞く「旗竿地」って何?
購入前に知っておきたい、メリット・デメリット

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KJ-house(Design Pot’s)

家を建てるには土地が必須。敷地面積、駅からの距離、周囲の環境など土地を選ぶ基準はさまざまですが、その中でも「地価」を気にする人は多いはず。

予算内で、好みの土地を手に入れる手段のひとつが、今回ご紹介する「旗竿地(はたざおち)」です。

旗竿地は、竿のついた旗のような形をした土地で、一般的な土地よりも地価が安く設定されています。旗竿地のメリットやデメリットを知り、賢く土地を購入しましょう。





その形から名前がついた「旗竿地」とは?

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44:63 あざみ野の住宅(フューチャースケープ建築設計事務所)

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44:63 あざみ野の住宅(フューチャースケープ建築設計事務所)

四方を家に囲まれた旗竿地の住宅。外壁には窓はなく、中庭に、床から天井までの開口部を設け、光と風を取り入れている。

旗竿地とは、その名の通り「竿についた旗のような形の土地」のこと。敷地(旗の部分)に細長い土地(竿の部分)が加わったもので、この細長い土地が公道へ続いています。

旗竿地は別名「敷延(しきえん)」とも呼ばれているので、こちらの名前をご存知の方もいるのではないでしょうか。

都市部に多い旗竿地ですが、この旗竿地には形のほかに、どのような特徴があるのでしょうか?次は、旗竿地を選ぶメリットとデメリットをご紹介します。





予算内に収めるなら旗竿地、そのメリットとは

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明るく閉じた旗竿地の家((株)Fit建築設計事務所)

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明るく閉じた旗竿地の家((株)Fit建築設計事務所)

周辺を住宅やマンションに囲まれた都心の旗竿地。空に向かって開いた高窓から光が降り注ぎ、緑を隣家からの借景としている。

・地価が比較的安い
旗竿地を選ぶメリットとして、最初に挙げたいのは「地価が安いこと」。その理由は、周囲すべてを隣家に囲まれていることが多く、使い方に工夫が必要だからです。建物の形が限定されることもある旗竿地ですが、運良く見つけることができれば、地価が高いエリアでも費用を抑えて家を建てることができます。

・静かな住環境が手に入る
旗竿地はその多くが公道から少し奥まった場所にあります。敷地の近くを車や人が通らないので、静かな住環境がつくりやすいと言えるでしょう。しかし、周囲を民家に囲まれていることが多いので、周辺住民の生活音には注意しなければいけません。近隣住民や自宅の生活音が伝わらないよう、防音対策を怠らないようにしましょう。

・内装や家具にお金をかけられる
先ほど紹介したように、旗竿地は四方を住宅に囲まれていることが多いので、家の外壁はほとんど公道から見えません。そのため、外壁材や塗料のコストを抑えて内装・家電・家具など、家の中のものにコストをかけることができます。





採光・通風に工夫が必要、旗竿地のデメリットとは

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OOT邸(room-n アーキテクツ)

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OOT邸(room-n アーキテクツ)

広さ、高さ共に厳しい建築条件の旗竿地に建つ住まい。2階に明るさを確保するための大きなハイサイドライトを設け、勾配天井に沿って光が心地良く降りてくる設計に。

次はデメリットをご紹介します。旗竿地はどのような点が不便なのでしょうか?

・駐車が不便になる
旗竿地のなかには、通路部分の土地幅が2mほどしかないものもあります。幅2mでは車の通行はギリギリで、車を停めた後はドアを小さく開けて、すり抜けるように降りなければいけません。敷地内に車を停めたい場合には土地の幅に注意しましょう。おおよそ3mほどの幅があれば、出入庫もスムーズになります。

・建築コストが高くなることもある
通路部分の土地が狭い場合、重機が敷地の奥まで入れないことがあります。重機が入れないと職人さんの作業が増え、建築コストが増える原因になるでしょう。

・生活インフラの整備にプラスの料金がかかることも
旗竿地の中には、水道管や電線が敷地内に通っていない土地があります。家を建てる場所まで水道や電線を引かなくてはいけないので、その分コストが必要です。

・採光や通風に工夫が必要
周りを家に囲まれていることが多い旗竿地は、1階部分の採光や通風が悪くなりがちです。この問題を解決するために、旗竿地に建てられている建物には、リビングを2階に設けたり、天井近くに大きな窓を設けたりすることが多いようです。

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つながりの家((株)Fit建築設計事務所)

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つながりの家((株)Fit建築設計事務所)

住宅が立ち並ぶ旗竿地。一日を通じて明るい家を実現するため、リビング・ダイニングに広い窓と、ダイニングに吹抜けを設置。この吹抜けを介して和室・子ども部屋までひとつながりの空間となって、家族の気配を感じながら暮らすことができる。

・プライバシーやセキュリティ面に注意
周りを家に囲まれていると近隣の家と距離が近くなり、プライバシーが確保できないことがあります。また人目につきづらい奥まった場所に家を建てるので、防犯上不安が残ることもあります。このデメリットは、先述した防音対策のほか、ホームセキュリティサービスに加入することで対策することができるでしょう。





工夫を凝らして家づくりを楽しく

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草津の家(株式会社 誠工務店)

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草津の家(株式会社 誠工務店)

住宅と駐車場に囲まれた旗竿地。通路がそのまま建物内に入ったような路地空間で、内部と外部の「間」をデザイン。この路地空間に向かって大きな開口が設けられ、プライバシーを確保しながらも一日を通して緩やかな光を取り込んでいる。

上に紹介したデメリットは、メリットと表裏一体の関係にあります。短所が多く挙げられる旗竿地ですが、求めやすい地価は魅力的。予算内で家を建てたい場合、旗竿地は力強い味方になってくれるでしょう。

これはすべての土地に言えることですが、その特徴をよく知ったうえで、設計に工夫を凝らせば満足できる家が建てられる土地になるはずです。旗竿地だからと敬遠することなく、選択肢のひとつとして取り入れてみませんか?


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Text 鈴木雅矩

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