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オープンハウスレポート
2015年 5月20日

うなぎの寝床でステキに暮らす。土地から考える空間設計

「オープンハウスレポート」vol.1 武蔵小山A邸 建築家 井上玄

見つけた土地は、幅4.5m。
日当たりが乏しく、耐力壁によって間取りに制限がありそうな、いわゆる”うなぎの寝床”。
その難点をクリアするだけでなく家の魅力に変えたのは、建築家井上玄さん。
土地探しから建築家と一緒につくりあげた、自由な間取りの明るい家のオープンハウスレポートです。

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「オープンハウスレポート」の第1弾は武蔵小山のA邸。駅から徒歩数分という、
交通の便がとてもいい場所にあります。
この家を設計したのは建築家の井上玄さん。
Aさんご夫婦から「土地探しの段階から家のプロに一緒に考えてほしい」と相談され、設計がスタートしたそうです。
今回は井上さんからオープンハウスのご案内をいただき、A邸の設計から完成までの経緯や、こだわりポイントなどについて語っていただきました。


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(左)施工前の土地のようす (右)配置図

一見、家には不向きな土地に見えますが

Aさん一家は、30代の共働きのご夫婦と小学校4年生・年長の娘さん2人の4人家族。はじめにいただいたご相談は、

「利便性がとても魅力的な土地がある。ただ、“うなぎの寝床”のような長細い土地で、隣家が密集して建っているため、日当りが不安。
採光の問題をクリアできるならばその土地に決めたいのだけど…」

というもの。
実際に土地を見させていただいたところ、隣家が密集して建っており、一般的な南採光は難しい環境でしたが、工夫すれば家に光を取り込めると思いました。

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(左)外観正面 (右)玄関の入り口から中を見る

細長い土地を生かした「奥行き」を感じさせる設計

Aさん宅の設計の大きなテーマは、細長い土地のメリットを生かした「奥行き」と、ご夫妻のご希望だった「明るさ」です。

玄関を入ると目に飛び込んでくるのが長い台形の廊下。
27.9mという土地を前後に貫く廊下を設けることで、「奥行き」を強調しています。
また、各スペースを「斜めに入った筋交いと透明の壁」でおおまかに区切ることで、プライバシーを確保しつつ、階段の吹き抜け部分や窓から射し込む光をまんべんなく取り込めるようにしています。
南側に建物があっても、2階から北側の安定した光を取り込み、吹き抜けを使って1階に光を導くことで「明るさ」は確保できるんです。

暮らしと動線にあわせた間取り

A邸の特徴のひとつが、家族の暮らしとその動線にあわせた設計です。
1階の1番奥の寝室は、家族全員が一緒に寝るため「とにかく広く」というご希望に沿って、余裕のある空間にしました。
全面窓を設けることで、1階の奥にありながらも光の変化を十分に感じられます。

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(左)1F奥の寝室 (右)寝室手前のクローゼット

寝室の手前にあるスペースは、家族全員の衣服が納まる大きなクローゼット。
仕事から帰宅したAさんご夫婦は、まずクローゼットに行って部屋着に着替えるのが自然とルールになっているからです。
キッチン以外の水回りも含めてプライベートなスペースはすべて1階にまとめられ、既存の概念にしばられない自由な間取りになっています。

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普段は壁と同化している扉

フレキシブルな仕切りで必要なときだけ区切る

2階へ上がると、3.9mもある高い天井と明るい空間が広がり、各スペースは必要に応じて壁に収納された扉で仕切れるようにしています。
筋交いを生かした構造(耐力壁)にしたのは、筋交いを兼ねた急勾配の天井(屋根)が、北側から光を取り入れるだけでなく、リビング、畳コーナー、ダイニング、キッチン、多目的コーナーと、奥行きの長い空間を緩やかに区切る間仕切り壁になると考えたからです。

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(左)2Fは3.9mの高い天井 (右)特徴的な筋交い

中央のキッチンを軸に、左右にリビングスペースと、いずれはお子さんたちそれぞれの個室にも仕切れる多目的スペースを配しています。
キッチンは既製品のものをセレクトしてコストを抑えました。システムキッチンに腰壁をつけて、オープンキッチン風のしつらえに。

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(左)小上がり (右)キッチン 

小上がりのような畳敷きのスペースは、寝転がったり、備え付けのテーブルでお子さんたちが勉強できたりと、ミニマムなスペースにもいろいろな使い道が考えられるようにしました。

多目的スペースは、壁の大きな鏡前でバレエを習っているお子さんたちが練習したりもできます。扉を閉めて音を遮れば、静かに本を読む書斎スペースにも。  

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多目的スペース

高価な素材を使わずに、空間全体で華やかに見せる

真っ白な室内のアクセントになっている床のオークや階段のタモ材を含め、どれも高価な素材は使っていません。
部分的に高い素材を使うよりは、全体の構成や光の入り方などで空間に迫力をもたせたり、華やかに見せるのが自分の設計のポリシーです。

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(左)洗面所。筋交いの裏面や床の木が壁の白に映える (右)オープンハウス時に設置した家具

一見難しく感じられる土地でも、建築家にとってはさほど問題はありません。土地を含めた条件や、施主さんのご希望に合わせて適切な設計をするのが、建築家の仕事だと思っていますので。
今回のオープンハウスでは、その空間で暮らすイメージをしやすいように、ソファやダイニングテーブルなどの家具を置くという工夫をしてみましたがいかがでしょう。
「こんな生活も楽しそう」という暮らしのヒントにしてもらえたらと思います。 

(協力:北欧家具Bo Concept)

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A邸全体模型

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A邸平面図

text: 中嶋愛 photo 小林キユウ(一部、井上玄)


主な作品

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崖と手をつなぐ家

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