高齢さま
はじめまして、Hirano S-A Laboratoryの平野と申します。
文面から、かなり悩んでおられることと思います。
住まいの事は、直接、生活やある意味安全性にまで影響があるという事で、私が役所の耐震診断員としてのお仕事をさせて頂いているという仕事柄、多くのご意見を頂きます。
その中で、最も多いお悩みが今回の高齢さんのように、築年数がある程度たった住宅での不同沈下や耐震強度不足についての話題です。その住宅ごとに条件が異なるため、一概には言えない部分もありますが、今回のケースで文面から分かる範囲の事を書いてみようと思います。
①「築30年」ということで考えますと、建築基準法が大改正される昭和56年以前の建物である事が分かります。いわゆる旧耐震と言われる建物で、耐震診断をすると現在の住宅に比べると多くの住宅が耐震性が低いと言う判定になります。
②「土木関係の方が数センチ沈下がある」という事で考えますと、地盤耐力に問題がないとすれば、施工段階での転圧(地盤の付き固め)不足である事が疑われます。また、「築30年」であれば、基礎はおそらく布基礎であると思われるので、基礎から住まいを集成する事は費用的に考えても現実的ではないでしょう。
③「大工さんが家はしっかりしているのでリフォームをしましょう。」で考えると、既に沈下が止まっている場合で、全体の傾きが大きくなければ、建物全体の床レベルを合わせる事はリフォームでも可能なので、それも選択肢のうちのひとつかもしれません。
④「ハウスメーカーの方」で考えると、ハウスメーカーにもいろんな人がいるので難しいですが、他の建築士さんが書いておられるように、そのハウスメーカーの住宅を売る事がその人にとっての仕事なので、信頼できる方でないと微妙かもしれません。
⑤「地下に車庫」で考えると、恐らく、住宅の地盤が道路より高い敷地であるのだろうと思います。その場合、彫り込み車庫や擁壁などがある場合が多いのですが、建替えの場合にはその車庫や擁壁の安全性について、役所が建築確認の時に根拠を求めてきます。それが、他の建築士さんが書いておられる「完了検査済み証」になるわけですが、そういった物が無い場合は、建築士が安全性を保証する事を示して、責任を持つ必要が出てきます。その責任を果たす事が難しいと考えられる場合は、再構築をお願いする事になります。それが、他の建築士さんが書かれている「制限」や「再構築」を意味していると思います。
長々と書きましたが、私が分かるのは今の段階では、このくらいだと思います。ありがとうございました。
一級建築士事務所 Hirano S-A Laboratory
平 野 智 久
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