自然エネルギー利用の住宅を研究し提案している設計事務所ですが、屋根集熱暖房(OMソーラー、そよ風)は過去の遺物といえます。OMソーラーが開発された時代の住宅は断熱性能がとても低く、窓からの集熱だけでは足りず屋根面からの集熱システムが必要でした。しかし現在の高断熱化した住宅ならば窓面から直接集熱(ダイレクトゲイン)した熱で十分すぎるほどの熱量を得ることができるのです。
おそらく吉村順三さんやOMを開発した奥村市も現代に生きていれば別のシステムを提案していたことでしょう。
長所
・自然エネルギー利用をアピールできる(作り手側)
・密集地で窓からの集熱が難しい立地ならが屋根集熱は効果がある
・集熱した熱を床下の基礎コンクリートで温め同時に床面も温めるので床暖房のような高効果を得ることができる。
短所
・OMソーラーで200万円、そよ風で150万円の工事費増になり、費用対効果が悪すぎる。この点は致命的な短所です。
・屋根納まりが複雑になり、慣れた施工者でないと漏水リスクが高まる。
現在、OMソーラーの地元である静岡でもOMへの反応は冷ややかです。200万円あったらもっと有効な使い道があることを感じているのではないでしょうか。
太陽光発電については、住宅を建てるときに住宅ローンを使って導入するほどのものではありません。住宅ローンの金利と廃棄処分するときの処分量まで含めて収支計算すると15年以上の稼働が必要なのです。ローンではなく自己資金で導入するならば低金利ということもあり導入する価値はあります。それでも収支0になるのは12年とお考えいただいたほうがいいです。太陽光発電業者やハウスメーカーの口車に乗ってはいけません。
自然エネルギー利用というと太陽光発電やOMなどのアクティブな設備に着目する方が多いのですが、自然エネルギー利用の基本は断熱・気密・通風です。その次に考えるのは太陽光給湯です。実は太陽光給湯は自然エネルギー利用設備のなかで最も費用対効果が高いのです。さらに余裕があれば太陽光発電を考えればいいでしょう。