ありさん 様
こんにちは。
アドバイス募集の件、拝読させていただきました。
ご検討されている松屋町辺りに残る下町風情はとても貴重です。いつも通る度に癒してくれるようです。
さて
ご検討されている敷地はとても興味深いです。
ご質問に対する結論から言うと、住宅を建てるという意味では何とかなると思います。
ただ、大きな課題を抱えている敷地であることは確かですね。
添付の実測平面と写真を見て思ったことを率直に書きたいと思います。
課題の一つ目はご質問にあった接する道路幅です。
約1.7mの道路と北、西の2面で接しています。
接する道路幅が4m以下の場合、道路幅が4mになるよう敷地の一部を道路として提供するよう法に定められています。そのときどこから4mとなるように提供義務が生じるのか、いろいろなケースがありますが、よくあるのは道路の中心から2mまでの部分を提供するパターンです。添付の実測平面図にもセットバック面積9.5平方メートルというメモ書がありますが、平面図では北側の道路に対して2mセットバックしているようです。
西側に対しては必要ないのか、確認が必要だと感じます。
最終的に道路提供した後の面積が敷地面積ということになります。
もし西側の道路に対してもセットバックが必要であるならば、実敷地面積は70平方メートル前後になるかもしれません。
二つ目は、南側の石垣のような壁です。
この壁の問題は、「壁が敷地内にあるにもかかわらず、隣地の建物の地盤を支えている可能性があること」そして「構造的な強度は保証されているのか」の2点です。
添付の実測平面図を見る限り、石垣に当たる部分は購入を検討されている敷地の中のようです。この壁の所有権は敷地の所有者であり、壁を「取り壊す」「補強する」「築造し直す」など壁をどうするのかは所有者の自由です。しかし隣地の建物の地盤を支えているという事実があるとすれば、自由に壁をいじる事が難しくなってきます。壁を取り壊すことが隣家も取り壊すことと直結してしまうからです。隣地所有者との関係性にもよりますが、トラブルの元になる可能性はあります。
そしてこの壁が構造的にしっかりしたものかどうか、ということも重要になります。
構造計算がなされ、◯◯kNまでの荷重には耐えられますよ、というような保証があれば良いのですが、写真を見る感じだと、かなり古いように見受けられ、もろい構造である事が想像されます。何かの災害時に崩れてくる可能性は否定できません。
この崩れてくる可能性に対しては、コストは別として対処する方法はあります。
簡単にいうと、仮に崩れてきても、それを受け止める強度を持った壁をもう一枚造るということです。あるいは鉄筋コンクリート造の建物とし、崩れてきても建物がなぎ倒されないよう、しっかり強度を持たせるということも考えられます。
この強度の件は、あくまで悪い場合を想定するとこうなるということで、少なくとも阪神大震災を経て、なお既存する事自体、それ相当の強度はあるということかもしれません。今すぐ崩れるということではなく、可能性のお話です。
大きくは上記の2点が課題となるのではないでしょうか。
この敷地周辺で、この敷地の価格は確かに安いです。しかし状況を考えると、建物になるべく費用を掛けたい所でもあります。もっと安い価格を不動産業者から提示してもらえるのであれば、なお嬉しいですね。
昭和の薫り残る敷地周辺で、素敵な住宅を完成されること、とても期待しています。
困難も多いと思いますが、難しい敷地には面白い建築ができることもあります。
是非実現に向けてがんばって下さい。
弊所にはいつでもお気軽にご相談下さい。
<補足>
いただいた情報からの推測のため、事実と異なっている可能性もありますので、ご了承下さい。
関口
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関口太樹+知子建築設計事務所
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