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トイレの設置について

建築士の方々にお伺いしたいのですが、プランニングをする上でのトイレの設置についてです。
最近のお宅は1階、2階に計2つのトイレを設置することが多いと思いますが、トイレが1つの場合と2つの場合、本体+設置のコストとしてどの程度違うものでしょうか。コストダウンできる箇所を探っていて、そのひとつとしてトイレを考えてみました。
もちろん使いがってなどの問題もあるかと思いますが、昔は1軒に1カ所は普通だったように思います。

また、例えば階段の途中など1階からも2階からもアクセスしやすいような場所に1カ所だけ設けるというようなことを考えた場合、施工の面での問題、コストの上昇などなにか不都合は考えられますか。

今回はトイレを例にコストダウンについてのトピックとしましたが、トイレでこんなアイデアでコストダウンしたという例がありましたら、ご紹介いただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。

このアドバイスは、旧HOUSECOの家づくり相談のアーカイブを移行したものであり、現行SuMiKaが提供する機能と齟齬がある場合があります。

専門家の回答

2件

2008年 5月10日
匿名様

トイレのコストダウンについて
便器等の器具の価格や内装仕上げの程度により変わりますが、だいたい衛生器具等は定価の6〜7掛け程度です。
ローコストとしての1例ですが(見積もり値段での大まかな金額です)
便器12万(定価18万程度)
紙巻き機、タオル掛け合わせて2万円
吊り収納2万5千円
扉3万円
小窓サッシ+ガラス3万円
換気扇1万円
照明+スイッチ5千円
配管や配線等の材料+工賃6万円
計30万円
が単純に便所がなくなったときに見積もりから減る金額です。
便所がなくなった分の面積は他の部屋に吸収されると考えていますので壁や床、天井の仕上げは減額していません。
面積自体減らすのであればさらに30万円減額で計60万位が目安だと思います。
この考え方も建物の形や構造等により変わりますので厳密には正確ではありません。
また、便所をそのまま収納等に転用するのであれば扉が必要となりその分が加算され減額は少なくなります。
逆に後からこの工事をすると大工、電気、上下水道、建具等の工賃がこの工事の為に各々掛かりますので15万位は必要だと思われます。

見積もりにおいてコストダウンの際にこのようなお話をさせていただくのですが、ほとんどの場合『30万円位なら入れておきます』となり、コストダウンが進まないのが現状です。
実際にはローコストでのコストダウンは数千円から数万円レベルのコストダウンをいっぱい探しその上外壁や床仕上げ等の使用面積が大きい物の材料のランクを下げてやっと100万円減となります。

細かい物でも使用頻度が少ないと思われるものや優先順位の低い物をリストアップしてドンドンなくしていく事が必要です。

匿名様の書いてある通り現在各階に便所というのが一般的になっていますが私たちの住んでいた家というのは便所は基本的に家に1つでした。
その場合の不便さも感じていましたがその為に大きな問題になる事は少ないと考えれます。物質的な裕福さを求めるとこのような状況になるのかもしれません。

各階に便所という注文は奥様からの希望というのが多いのですが、理由としましては旦那さんの便所が長い、臭い(個人差あり)、子供が多く朝取り合いになる。等の発言をよく聞きます。匂いや音、清潔感など日本人のトイレに対する羞恥の感情は世界的に見ても異常で、独特の『恥』の文化が肥大したのだろうと僕は考えています。海外のようにバストイレ洗面セットの3点式にすればもっとコストは下がるのでしょうが、日本ではまず無理です。
面積的にも金銭的にも問題がないのであれば各階に便所というのは便利なので良いのですが、そうではない場合、無理にそうしなくても他の部分に余裕を持たせるプランにした方がバランス的に良い家が出来ると感じる事があります。

1階からも2階からもアクセスしやすい場所に1カ所作った方がコスト的には断然安く出来ます。匿名さんの世論に流されない感覚はコストダウンする上でとても大事です。
設計事務所の立場としてそのような事はアドバイスとしてお話しする事はありますが、強制する事は出来ませんので、最終的にはお施主さんの判断としています。
ローコスト住宅はいろんな物をまんべんなく望む方よりは信念を持って必要かどうかを考える人の方が向いています。その感覚があれば大丈夫だと思われます。

コストダウンの方法ですが、
* 建物自体を軽くする(屋根材、壁材の選定)
* 既製サイズの物を使う(サッシ等)
* 使用材料の種類を減らす(タイル壁、塗り壁、クロス壁など混在するとそれぞれ職人さんが必要なので工賃が高くつきます)
* 上記に書きましたが壁や床等大きな面積につかう建材を検討する
* 建具を少なくする。
* 本当に必要な部屋だけを作る。
* 必要以上の性能を求めない(断熱材やガラスなど)
* 床面積を減らす(これが一番)
* 施主支給品として建材を自己購入する。
注意 : 業者発注の場合、価格にある程度上乗せします。これは何かあった場合の保険的な金額ですがその分が安くなります。そのかわり責任はお施主さんとなりますのでリスクがあります。
* 塗装等出来る事は自分でする
注意 : 考えている以上に大変です。ある程度の覚悟が必要
* キッチンや浴室等のランクを下げる。
* 後から設置出来る物についてはその方向で考える(食洗機等)
* 照明器具等の数を減らす

等が考えれます。

勿論それぞれの住宅にとって他の方法もありますので、一概には言えません。

このように書くと寂しい家になりそうですが、設計士はプランニングによって贅沢な空間を作る事が出来ます。

匿名さんのように要るもの要らないものを考えて、本当に必要な空間を作る事によりよい住宅が出来ると思います。

大変ですが考える方向は間違っていないと思います。

林泰介
矢印
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ユーザーの返答

2008年05月10日

HOUSECO登録のユーザーのプロフィール写真

こんにちは。林先生のご回答は常々他の質問欄でも拝見しております。
とてもご丁寧かつ専門的で参考にさせていただいております。ありがとうございます。
ローコスト化はおっしゃる通り、ある種の我慢比べな部分もありますが、工夫を凝らしてよりよい環境を作り上げる楽しみのようなものもあると思います。
がんばっていきたいと思います。(同居人すべてが同じ考えならよいのですが、なかなか意見をまとめるのも一苦労)

今回テーマにしたトイレは、私は一カ所(1階)でよいと考えますが、やはり妻は2カ所と言っています。深夜1階に降りたくないという理由のようです。そんなわけで、では中間ならどうか?と安易ながら考えたわけです。
ただ、中2階とはいえ階段を昇ることを考えると、将来親を迎え入れたり、自分が老いたときに不便かもしれないという懸念はあります。

2008年 5月11日
匿名様

返信有り難うございます。
なるべくわかりやすい言葉で伝えようとして、長文になりいつも『大丈夫かな?』と思っているのですが、伝わっている事が解り嬉しく思います。

住宅の問題は家族でよく話しあってください。それが大事です。

あまり将来的な事は考えない方が良いと思います。

老いた時の事を考えてもその通り老いるとは限りません。
私事ですが、元気だった義母が脳溢血で倒れ寝たきりになったときに、そのように感じました。
自分の考えている老いは理想的な老いで、現実は解りません。
その時々に合った改装をしなければならないと思っています。
(少し重い話なのでこのような話はあまりお施主さんには言いません)

また、年配の方の改装で、2階の寝室自体が面倒なので1階に寝室を作る事があります。子供が出て行って家自体そんなに広い空間が必要なくなったので1階だけで生活出来るようにします。

現在の年齢は解りませんが、あまり遠い先は考えずに5年後先位を考えて計画した方が良いと思います。

また、女性の方は冷え性の方が多くトイレを近く望む方が多くおられます。
男性には分かり難い部分もありますので、その辺の事も考慮して奥様とお話しください。

林泰介
矢印
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