はじめまして、いなはら建築研究室の稲原と申します。
私事ですが現在、準防火地域での木造3階建て住宅の基本設計をしていまして、トップライトに
ついても採用の可否を検討しているところでしたので、こちらで調べたことをご連絡します。
まず、トップライトについての防火規定というのが、実は建築基準法では定められていません。
ただし、準防火地域ですから、「屋根」にも「外壁」にも「開口部」にも防火性能が求められてい
ますので、トップライトも何かに準じた形での防火性能が求められるということになります。
詳細な内容については、トップライトメーカーの菱晃さんのHP、「トップライト製品の耐火に関す
る取扱いについて」
http://www.kkryoko.co.jp/toplight/fire.html をご覧下さい。
トップライトを「開口部」とみなすならば、「防火設備」(旧来の乙種防火戸)の基準を満たす必要
(20分の遮炎性能)がありますので、メーカーの認定品の中から選ぶということになります。
ガラスについては、網入ガラスでは消防用進入口とは認められませんから、旭硝子のマイボー
カのような耐熱強化ガラスを使用することになります。このガラスの採用上の制約は特にありま
せん。
進入口となると相当の大きさが必要ですから、既製サイズでは無く特注サイズになりますので、
メーカーに製作の可否を確認する必要があります。
べルックスなどの木製トップライトでも、防火設備認定品であれば、使用は可能かと思います。
トップライトを「屋根」とみなすならば、「不燃材料で造るか葺く」または「準耐火構造」または「同等
の性能として大臣が認定したもの」(30分の非発炎性・非損傷性)のいずれかの性能が必要となり
ます。
トップライト自体に防火性能が求められていないのですから、大臣認定品というのも当然存在しませ
ん。また準耐火構造にもなりえませんから、自ずと「不燃材料で造るか葺く」というものになります。
ガラスや金属は不燃材料ですから、金属枠にガラスを嵌めたタイプのサッシ・トップライトであれば
問題なく「不燃材料で葺く」ことになりますが、そのガラスが問題となってしまいます。
平成12年建設省告示第1399号の第5に、耐火性能を満たす屋根の構造方法が決められており、
その中で、「鉄材で補強されたガラスブロック若しくは網入ガラスで造られたもの」という規定に
よって、網入ガラス以外は使用出来ません。これはガラスに「非損傷性」が求められているためです。
従って、「屋根」という扱いで、網入ガラスを使用しないという選択肢は無いということです。
確認申請を行った建築主事が、どのような判断をされたのかが不明なのですが、「木製はダメ」とい
うことから(多分屋内側がダメなのではなく、屋外側がダメなのだと思います)、「屋根」に準じた判
断をされているのではないかと思います。屋根のほうが防火性能が厳しいですし。
どうしても腑に落ちないようでしたら、工務店と一緒に確認を行った建築主事の元に行き、建築主事
がどのような判断をされたのか、確認してみたらどうでしょうか。
その内容によっては、匿名さんの希望に沿うような形になるかもしれません。
重要なのは、「トップライトには防火性能に関する規定が無い」ということです。