はじめまして。山本嘉寛建築設計事務所の山本と申します。「誤差の範囲」とは曖昧で都合のよい表現ですね。
機械設計の世界では、許容される寸法誤差の最大値と最小値の差のことを「公差」と申します。例えば長さ50mmの棒を作るにあたって「公差±0.1mm」と指定すれば、長さ49.9~50.1mmまでが公差の範囲内となり、合格品と見なされます。
一方建築設計の世界では、玄関の框と床材を同レベルにて突付ける設計だとしても、その公差がいくつなのか、あらかじめ定められていない場合が多々あります。特に、品質管理されたプレファブリケーションの現場以外では、人力による施工精度の限界であったり、反りや伸縮膨張を生じる材料の特性を理由に、公差を厳密に設定することを避ける傾向があります。それが故に建築主様と施工者の間で認識の齟齬を生じているのであろうと思われます。
一般的に建築の現場では公差±0.5mm〜1mm程度の認識で施工が行われています。それを超えるギャップが生じているのであれば、「誤差」ではなく何らかの原因があると考えられます。それは施工者の技量や材料の品質など意図せず起こったギャップの可能性もありますし、異なる材料同士を美しく突付ける為に敢えて微小なギャップを設けている可能性もあります。
いずれにせよ通行時につま先が引っかかるようなギャップを生じているのであれば、是正して頂けないか施工者に相談されたほうが良いであろうと思われます。
以上ご参考になれば幸いです。
山本嘉寛建築設計事務所YYAA
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