URBAN GEARの本多と申します。
一昨年、長野県の信濃町で築100年以上の古民家の
改修工事を実施しました。工事期間だけでも2年掛かった
大工事でした。そのときのクライアントの希望は、確かに
趣は大切にしたいのだが、耐震性、断熱性能を、この機会に
コンテンポラリーなものにしたいということでした。
完成した家を見ての感想を送っていただきましたが、
これは、これで良かったと思うが他のアプローチも有ったと
思うと仰っていました。
私は当初、既存を出来るだけ残して、壊れた部分は作り直し、
また補強するとしても、断熱性能については拘らない、
外部建具は、そのままにした方が良いと伝えました。
ですが、その意見は聞き入れられなかったということです。
私が、そのクライアントに、そのように言った理由は、
快適に別荘ライフを過ごしたいことが最優先で、その古民家を
購入したわけではなく、歴史と一緒に、その場所に一時でも
暮らすことが目的で購入したと伺ったからです。
サワコさんにも同じことを申し上げます。築150年の家は、
意外にも日本には沢山残っています。しかし、その殆どが、
何度もリフォームを繰り返され、凛とした表情は失われてしまって
います。気候の厳しい地域にお住まいの所有者の方にすれば、
快適で安全にくらしたいという、元々生まれ育って、今尚そこに
暮らしている人たちの極々当たり前の願いなのですが。
しかし、古民家に憧れて、骨董を購入された感覚の方が、
やはりこれでは、とても暮らしにくいと感じて現代的に直して
しまったら、もう中途半端な骨董に対して、当初の愛情が注げないと
いうことになり、寒くて暮らせないということと同じになりは
しませんか?二重サッシは断熱効果が高いです。ですが、古民家の
形態と構造からして、投資しただけの見返りは期待できません。
しかし、昔の人は、それで生きてきました。冬には冬の過ごし方、
夏には夏の過ごし方を意識することで、150年前の人たちの
暮らしを体験することが出来るのです。大変に貴重な体験だと思います。
その暮らし方を継続したからこそ、その築150年の家は未だに残って
いられると言って良いと思います。
間取りを拝見していないので断言できませんが、昔の家は「建具」で
仕切っただけの場合が殆どです。
暖房する部屋を小さくして、非暖房室にはヒーターなどを置いて、
ヒートショック対策をしてみてください。
正直、田舎に暮らしていなくても古い素敵な佇まいの古民家を見かけ
ますが、大概が「水周り」と「サッシ」を交換してあります。
一気に興ざめです(笑)
外部建具は非常に重要です。内側からも外側からも大変重要な
デザインファクターです。
人事で申し上げていません。今のままで暮らしてみてください。
これは、お願いでもあります!!
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